2012年1月号
アマゾンに新しいフランシスカンの存在
2012年2月1日アマゾンに新しいフランシスカン兄弟共同体が具体的な形をとり始めます。実際に以下の6人のフランシスカン宣教者-ブラジル「無原罪の聖母」管区の兄弟バッティステュツ・アティリオ、同国「イエスのみ心」分管区の兄弟フランシスコ・アデミール・マティルダ、アルゼンチン聖ミカエル管区の兄弟エウヘニオ・オルティス、メキシコ「聖フランシスコ聖ヤコブ」管区の兄弟ベルナルド・ゴンザレス・グエレロ、エクアドル聖フランシスコ管区の兄弟ヴィセンテ・ウォー・パトリシオ・トレス、ペルー「ソラノの聖フランシスコ」管区の兄弟シャンシャリ・エデル-が、「ソラノの聖フランシスコ」管区長の兄弟マウロ・ヴァレホと共にペルーのリマに集まります。同管区は新しい共同体の法的な身元保証をします。6人の宣教者は一連の手続きの後ペルーのアマゾン川流域のレクェナに集合し、一旦同地に仮の住まいを設けて地域について知ると共に互い同士の理解を進めてから、地域に根ざす定住の場所を選ぶ予定です。
新共同体はフランシスカン・カリスマの価値(観想の次元、兄弟的な交わりの生活、小さき者である事、宣教者精神)に鑑みて、教会と社会の具体的な状況すなわちレクェナ代牧区とその広漠とした管轄地域において、真に宣教者的で福音をもたらす共同体となるための実践的な方法を選択していきます。新しい土地には地元民の権利と文化の擁護と促進、貧しい人々の問題、先住民族、自然、環境など様々な課題があります。
マツァラ・デル・ヴァッロ市に共同体-イタリア
シチリア「いとも聖なるイエスのみ名」管区の小さき兄弟たちは数年前に始められた内省を続けると共に2009年総集会の示唆に応えて、2011年9月19日マツァラ・デル・ヴァッロ市に新しい存在を開始しました。同市は古い歴史を持つ一方現在は移民の町として知られ、共同体はカスバと呼ばれるアラブ地区に組み入れられています。地区居住者の大半はチュニジア出身者で他にロマ民族やイタリア人も含まれます。そこには特に社会的、文化的、宗教的に深く断裂した、境界と底辺の現実があります。
兄弟たちの目的は、兄弟的な生活と祈りを通して、すべての人々特に貧しく社会の片隅に押しやられている人々と共にあって、近しさと分かち合いの証しをするフランシスカン共同体となる事です。そして地元教会との交わりの内に新しい福音宣教の必要に応え、「生活と具体的な行動を通して、いただいた福音という賜物を創造的にお返し」したいと願っています。この体験は、私たちが自身の道の途中で必ずしも出会うとは限らない人々の心に到達するための、様々な方法の一つです。
総書記たちが養成修道院訪問-ケニア
養成と勉学総書記の兄弟ヴィダル・ロドリゲス・ロペスと副総書記の兄弟セルジウス・バルディガは2011年11月19日、ケニア「アフリカの聖フランシスコ」管区内ナイロビのランガタにある有期誓願者用養成修道院を訪問しました。二人は管区長の兄弟セバスチャン・ウンスナーを交えて養成担当者と有期誓願の兄弟たちに会い、兄弟的な対話や共同の祈り、共同体全員でのレクリエーションのひとときを分かち合いました。現在ケニア管区には15人の志願者と2人の修練者、23人の有期誓願養成中の兄弟がいます。
エルサレムのフランシスカン聖書研究所が受賞
ローマの聖ピオ10世邸大ホールで2011年11月30日、第16回教皇庁立諸アカデミー公会議が開かれました。席上、教皇庁国務省長官のタルチシオ・ベルトーネ枢機卿は外交団出席の下で教皇ベネディクト16世のメッセージを読み上げた後、「教皇庁立アカデミー賞」をエルサレムの「フランシスカン聖書研究所聖書学及び考古学部」に授与し、そのキリスト教考古学分野への貢献をたたえました。会議には教皇庁の文化評議会議長及び教皇庁立諸アカデミー連絡評議会議長を務めるジャンフランコ・ラヴァシ枢機卿、聖地特別分管区長の兄弟ピエルバッティスタ・ピツァバラOFMを始め、聖地やOFM総本部、聖アントニオ大学から多数の兄弟たちが出席しました。
聖フランシスコと聖クララの生涯が舞台化-日本
大阪のフランシスカンたちは聖クララ修道会創立800周年を記念するため、聖クララと聖フランシスコの回心を劇にして仏教徒グループによる上演を行ないました。劇の題は「聖フランシスコ物語:ごらんよ、空の鳥を」で、二人の聖人の生涯について、また全ての人々と全ての被造物に向けた平和と兄弟愛の道具としての二人の役割について、日本の人々に知らせる事を目的としています。そしてこの目的は上首尾に達成されたようです。2011年6月に初演後9月までの間に、劇は多くの場所でおよそ50回も再演されています。脚本は在世フランシスコ会のエリザベト西田明子氏で、フランコ・ゼフェレッリ監督の名作「ブラザー・サン、シスター・ムーン」に沿った内容です。
第2回フランシスカン人権デー-ブラジル
ブラジルのフランシスカン・ユース(以下ユー・フラ)は2011年12月1日から10日まで、第2回フランシスカン人権デーを実行しました。開催にあたっては同国「JPIC・人権」担当室(DHJUPIC)の全国副書記が、地元及び地区担当室の助力を得てコーディネート役を務めました。この人権デーは12月第1週に始められ、同月第5週の世界人権デーをもって終了しました。
本年ブラジルのユー・フラの総合的な目標は、ユースのリーダーたちを養成し、社会的・環境的な正義の推進における彼らの創造的な潜在能力を伸ばしていくために、地元の現実の諸課題に対する取り組みを始めとしてその実行方策について考える事です。実際2011年の第2回人権デーのテーマは「ユースと社会的・環境的正義」で、その標題は「この進歩はいくらかかるか」でした。詳細は下記サイトに掲載中です:http://www.jufrabrasil.org/ 又は http://www.dhjupic.blogspot.com/
フランシスカン新刊の栞
*フェルナンド・ウリベ著「聖フランシスコの会則。文字と精神」(原題La Regola di san Francesco. Lettera e Spirito)。デホニアネ・ボローニャ出版、ボローニャ、2011年。全361頁(イタリア語版)。
聖フランシスコの会則は、訓戒の言葉を通して兄弟たちの日常生活を励まし生命を吹き込む事を目指した霊的文書です。本書は「新講座」と呼ばれる会則解説書のシリーズの中の一冊で、伝統的な解説の法的枠組みを無理なく脱して新たな歴史的、聖書的、神学的、さらには霊的な要素を活用し、それによってベールを取り除くようにより鮮明に、テクストの意味と法制定者の意図を私たちに示します。【日本語版は、兄弟古里慶史郎の訳で、2009年に教友社から出版されています。http://ofmjapan2.blogspot.com/2009/11/blog-post_24.html】
*M・C・ルーセイ、M・P・グノン共著、R・バルトリーニ監修「『とこしえに主の幕屋の内に』-クララ会の歴史。800年間の探求」(原題“Nella tua tenda per sempre”. Storia delle Clarisse. Un'avventura di ottocento anni)。ポルツィウンクラ出版、アシジ、2005年。全1200頁。
聖クララ帰天の750周年記念祭の結びに、「クララ会の歴史」が初めて出版されています。本書の題は、800年間の歴史における聖クララと姉妹たちの召命の恵みと献身を端的に表現しています。聖人と姉妹たちは常に神のみ前にあり、神の幕屋すなわち教会の内にありました。この重厚な書物は全42章から成り、Sr.コレットとSr.パスカルの2人のフランス人クララ会姉妹の20年間にわたる研究と、その作業を完成し最新化したウンブリア小さき兄弟会の兄弟リノ・バルトリーニの努力の結実です。800年間の隠世修道女会の生活は「11の重要な時代」に分けられ、それぞれに簡潔な紹介があります。そして時代の経過に沿って会の重要な人物が取り上げられています。巻末の充実した参考文献と索引に加えて、クララ会の歴史の各時期を図解する多くの彩色図版が随所に収められています。
*「ペトロ・ヨハネ・オリヴィ-マルコによる福音書の解説」(原題Peter of John Olivi – Commentary on the Gospel of Mark)。フランシスカン研究所出版、2011年。全112頁。
本書はマルコによる福音書についてのペトロ・ヨハネ・オリヴィの解説を、兄弟ロバート・カリスが英訳したものです。
世界中のオリヴィ研究者と中世研究家、歴史家全般、そして特に英語に関してアメリカの神学生たちは、訳者カリスによって実現された、マルコについてのオリヴィの解説の非常に読みやすく綿密で正確な英訳に感謝と賞賛を惜しんではなりません。私たちはスピリチュアル派フランシスカンの知的な指導者であるペトロ・ヨハネ・オリヴィOFM(1248-1298)が「13世紀の最もよく守られた秘密」であるだけでなく、中世の最も創意に富んだ知性の一人でもあると理解するようになりました。兄弟カリスによる訳を読む事で、読者はオリヴィという大きく複雑なジグソウ・パズルに、新たなヒントとなる一片を加える事ができるでしょう。
お知らせ-世界のあちこちから
アシジ精神の記念会議-ブラジル:ブラジルのフランシスカン神学研究所(ITF)はアシジの「1986年10月27日」を記念するために、2011年11月25日「アシジ精神:平和の構築のための対話」をテーマとする会議を主催しました。会議では諸宗教間対話がどのように平和の構築に貢献できるかについて、様々の宗教的伝統からの内省がありました。講演者とその主題は以下のとおりです:兄弟ベルケンブロック・ヴォルニー、「アシジ精神の25年間」;兄弟ヴィトリオ・マズッコ、「アシジのフランシスコと平和の神秘」;仏教僧侶ラマ・パドマ・サンテマール師の解説「仏教徒からみた平和への貢献としての神秘主義と霊性」。
アシジ精神記念の集まり-インドネシア:インドネシアのフランシスコ会「大天使聖ミカエル」管区のJPIC委員会はアシジ精神25周年を記念するため、ジャカルタのフランシスカン家族(KANESTA)及び「諸宗教間フォーラム」(SIJAR FAPSEDU)と協力して、2011年10月27日ジャカルタ市内のウィスマ・アンタラにあるアディヤナ講堂で会議を開きました。様々の宗教の代表によるスピーチの後、管区長の兄弟アドリアヌス・スナルコOFMの司会で率直な対話が行なわれました。集まりにはインドネシアのフランシスカン兄弟たちやフランシスカン家族のメンバーが参加しました。イベントはジャカルタの大統領官邸への「巡礼」をもって終了しました。
エルサレムのフランシスカン図書館で目録作成進行:エルサレム旧市街のキリスト教徒地区の中央に位置する聖救世主修道院の中に、フランシスカン聖地特別分管区図書館があります。そこでは貴重な写本や古文書の見事なコレクションの中から、その一部である15世紀から16世紀の印刷本の目録作成が進められています。この作業はすでに数ヶ月間続いており、それぞれの書物の保存状態と出所についてのデータと情報を記載した、詳細な目録が出来上がる予定です。それによって、各書物の偉大な歴史とそれらを通した図書館の歴史とをよりいっそう正確に再構築する事が可能になります。
このプロジェクトは、聖地特別分管区とミラノ・カトリック大学図書館のヨーロッパ出版図書館研究センターによるさらに大きなプロジェクト「聖地について語る」の一環として、NGO聖地協会(ATS)の支援を得て行なわれています。作業には聖救世主図書館に加えてフランシスカン聖書研究所図書館も携わっています。
目録は2012年内に出版される予定で、エルサレム内だけでなく世界中の学者や研究者にとって、図書館で閲覧できる書物の詳細な全景を一望できる重要な道具となるでしょう。その中には例えば15世紀から現代までの、聖地への旅のレポートや旅行記、旅程表の珍しいコレクションも含まれています。
「おお、驚嘆すべきへりくだり」-アシジ: ポルツィウンクラの天使の聖母聖堂で2011年12月7日、聖クララをたたえて催される「プレセピオ(馬小屋のキリスト御降誕の模型や彫刻等)の国際展覧会」の開会式が行なわれました。開催期間は同日から2012年2月2日までです。
兄弟が教皇と共にガンティン枢機卿の墓所へ-ベナン:ローマ管区の兄弟ジュリオ・チェルキエッティOFMは2011年11月18日から20日まで、ベナン司教協議会の招きにより教皇ベネディクト16世のベナンへの使徒的旅に「同行」しました。そして特に、2008年に86歳で帰天しウィダの神学校に埋葬されたベルナルディン・ガンティン枢機卿の墓所で、教皇の次に祈りを捧げる事ができました。それは兄弟ジュリオがアフリカ出身の故枢機卿によって司祭に叙階されたばかりでなく、20年間その秘書も務めていた事によります。今回ベナン行きの機会にラジオ・バチカンのインタビューを受けて、兄弟ジュリオはアフリカの聖職者たちの指導者的存在である故人について、その人柄の興味深い一面を語りました。それは例えば、教皇と教会とミッションに向けられた枢機卿の大きな愛、出身地ベナンとの強い絆、日々の出来事と人々への細やかな気配り、そして偉大な単純さと、ローマの美しさを前にして母に「お母さん、私は決して故郷の小屋を忘れた事がありません」と断言するほどの謙虚さでした。ガンティン枢機卿はベナン教会とアフリカ全土の重要人物の一人で、首席枢機卿や司教省長官、教皇庁ラテンアメリカ委員会議長を務めました。