2008年1月号

第40回世界平和の日

パウロ6世によって1968年に始められた伝統に従い、新年の最初の日は「世界平和の日」となっています。すべてのキリスト教徒と善意の男性女性が人類の最大の善すなわち平和と呼ばれるものへの内省と祈りを求められる日です。
この年月の間に取り上げられてきたテーマは、内省のためだけでなく特に実働の最前線に到達するため、すなわち「わたしはあなたたちに平安を残し、わたしの平安を与える。わたしは、世が平安を与えるようには与えない。心を騒がせることも、恐れることもない」(ヨハネ14,27)と言われたキリストの言葉に従って理論から実践に至るために、幅広い分野への有効な提案となっています。
けれども人間は平和を恐れているようにみえます。平和は戦争よりも負担がかかるために恐れを生じるのです。平和は、私たちにとって余分な不要物を意味するものの断片を与える事に矮小化されず、心からの回心を要求します。
平和は言葉によってではなく、行ないによって築かれます。平和について一年にたった一日だけ考えればよいのではなく、又そうあってはなりません。平和を毎日思わなければなりません。そして「世界平和の日」は一年365日、閏年には366日続かなければなりません。
平和の築き手になりましょう!

福者ヨハネ・ドゥンス・スコトゥス帰天700周年にあたって

福者ヨハネ・ドゥンス・スコトゥスの帰天700周年に際して、その著作と生活から湧き出る内省のための幾つかの要素を紹介する事は、私たちの知性と内的生活にとって必須かつ有益と思われます。
彼の非常に豊かな教義から現れる第一の側面は、神と信仰の真理をより深く知り、何よりも無限の愛をもって私たちを愛して下さった神の愛に魅了されたいと願う、精妙博士の切なる思いです。以下の「De primo Principio」第一章に書かれているような、神への温かい祈願が湧き出てくるのは、まさしくこの憧れからに他なりません:
存在するものすべての第一原理が、主のみ心にかなうすべてのものを信じ、味わい、表現する賜物を与えて下さいますように。そして私たちの心を主への観想に引きあげて下さいますように。あなたこそが真の存在であり、全き存在です。主よ、あなたが私たちに示されたまさにその定義から始めて、私たちの生来の知性がどこまで真の存在を、すなわちあなたを知る事ができるのか、私が見出せるようお助け下さい。その定義をあなたはこう言われました、「わたしはある。わたしはあるというものだ。」

フランシスカン研究所-日本

中世フランシスカン神学の公文書研究を進めるためのフランシスカン研究所が、日本に誕生しました。日本でこうした研究所が開かれるのは初めての事です。兄弟ヨアキム・前川登と兄弟ステファノ・福田誠二を始め、他の小さき兄弟たちやフランシスカン家族の専門家、信徒の学者によって研究者チームが組織されています。その中にはフランシスカン思想に関心を寄せるノン・クリスチャンも数人含まれます。研究所はすでに「フランシスカン研究」という題の書物を三巻刊行しています。同書は様々の研究資料を載せており、その範囲は聖フランシスコから聖クララ、ボナヴェントゥラ、ウベルティノ・ダ・カザーレ、オッカム、ドゥンス・スコトゥスに及び、多岐にわたります。現在スコトゥスの「序章」の日本語訳が進行中です。古来の高貴な文化の国において、それは興味深いイニシアティブです。フランシスカニズムはこの地で諸文化間・諸宗教間対話の貴重な構成要素となるでしょう。

宣教者の派遣-ローマ

ブリュッセルのノートルダム・デ・ナシオン国際共同体で行なわれた第7回宣教者養成講座が、2007年11月30日に終了しました。新しい宣教者グループの構成員は、インド出身でガーナとドイツに派遣される8人のカプチンの兄弟と、2人のコンヴェンツァルの兄弟、それにヴェトナム出身でビルマの共同体に派遣される兄弟パウロ・グエン・タン・ハイと、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ出身で東アフリカの聖フランシスコ管区に派遣される兄弟ジュロ・トカリッチの2人の小さき兄弟です。養成講座は英語で9月から11月までの3カ月間行なわれ、霊的黙想と個人的同伴をもって終了しました。
宣教者はフランシスカン合同チームによって養成され、三つの修道会の海外宣教総書記が最終評価に参加しました。そして、講座はすでに数年間宣教派遣された者にとっても大変建設的で充実した体験だったと判断されました。出席者全員が、このようなフランシスカン合同の宣教者養成を継続する事の重要さを確信しました。

ラテン・アメリカの宣教者会議

ラテン・アメリカの小さき兄弟たちの第一回宣教者会議が、2008年4月13日から19日までアルゼンチンのコルドバで開催されます。総合的な目的は、私たちの福音宣教のミッションの再建をラテン・アメリカから行なう事です。
会議は以下の三点に焦点を当てます:①歴史的記憶に基づいて、ラテン・アメリカでの福音宣教に対する宣教者の自覚を取り戻す;②すべての共同体において生活を活性化し、福音宣教の新しい形を得る;③私たちに固有のものである「諸国の民の間」での宣教者の召命を呼び起こす。
南アメリカ大陸に存在する様々の共同体の兄弟たちや信徒のフランシスカンが、代表基準に従って会議に招かれます。このイニシアティブは、同じ2008年にエクアドルのクィトで宣教者会議(CAM3-COMLA8)を行なうラテン・アメリカ教会と、「創立の恵み」800周年を祝う本会の旅路の中で行なわれます。それはまた、ラテン・アメリカにおけるフランシスカンの存在に新しい宣教のダイナミズムを与えるために、「派遣されて宣教する使命を帯びた兄弟共同体(Fraternity-in-mission)」の豊かさを再発見したいと願う、大きく広がった望みの中で行なわれるものでもあります。
プロジェクトは、大陸の全協議会からの代表と総本部代表とで構成された委員会によって企画されました。詳細は下記サイトをご覧下さい:
http://www.congresomisioneroofmla.blogspot.com/

フランシスカン新刊書の栞

*ホセ・アントニオ・メリノ著「ヨハネ・ドゥンス・スコトゥス-その哲学的神学的思想入門」(原題Juan Duns Escoto Introdución a su pensamento filosófico-teológico)。キリスト教作家叢書、マドリッド、2007年。全191頁:精妙博士として知られる哲学者にして神学者のヨハネ・ドゥンス・スコトゥスは、中世の最も偉大な思想家の一人で、未来に対する深い直観を持っています。その帰天(1308年)から700年の記念祭は、深遠な思想を最も差し迫った存在の問題に一致させる方法を知っていたこの非凡な師の生涯と知的メッセージを、私たちに思い起させてくれます。人格と人体について、また無限としての神についての哲学テクストや独創的な形而上学の概念はもちろんの事、キリスト中心主義、マリア学、道徳に関する神学論文も非常に現実的です。本書はスコトゥスの主要な哲学・神学論文を熱意を込めて明確に概括しており、スコトゥスに関する国際的考察に顕著な貢献をすると共に、スペイン語話者文学の大きな空白を埋める役割をも果たしています。

*グルツェゴルツ・ウィトルド・サラモンOFM著「ヨハネ・ドゥンス・スコトゥスにおける直観的良心の概念」(原題Koncepcja poznania intuicyjnego u Jana Dunsa Szkota)。フランシスカン研究叢書、ニエポカラノフ、2007年。全208頁:著者の兄弟ウィトルドはポーランドのリュブリノ・カトリック大学哲学科卒業後、ローマ聖アントニオ大学の中世及びフランシスカン上級研究所に在席し、現在はスコトゥス委員会委員を務めています。本書は福者ヨハネ・ドゥンス・スコトゥスの豊かな哲学的遺産の中心をなすテーマについての、入念な学術研究の結実と言えます。著者は人間の良心に関する精妙博士の思想を、広漠な歴史的・哲学的文脈に据えて描き出し、最後にこの点について数人の現代著述家の解釈を紹介しています。テクストはポーランド語で、出版社(wof@niepokalanow.pl)から入手できます。

お知らせ-世界のあちこちから

※ 総集会の総書記決定:総理事会は2009年5月23日から6月21日までアシジで開かれる本会の次期総集会の総書記に、トレント(イタリア)の聖ヴィジリオ管区の兄弟フランチェスコ・パットンを選出し任命しました。前回2003年の総集会に引き続き二度目の任命です。
※ フランシスコとクララ-記念と預言:聖クララ修道会(OSC)連合の全議長の集まりが、2008年1月26日から2月6日までアシジで開かれます。会議の主な目的は、姉妹たちに互いをよく知り合い、フランシスコとクララの意義深いゆかりの地を巡礼する機会を提供する事、クララ会創立800周年に先立って記念祭の計画を立てる事、幾つかの重要なテーマを考察する事です。
※ クララ会のチャペル再開-ナポリ:ナポリ大司教のクレチェンツィオ・セペ枢機卿は2007年12月1日、歴史的なジェス・ヌオヴォ広場中央にあるクララ会チャペルを再開し、荘厳な祭儀の中で贖い主キリストとトロサ司教の聖ルドヴィコ・ダンジュ(聖クララ聖堂と、現在はクララ会姉妹が居住する小さき兄弟会の昔の修道院建立者の兄弟)に捧げました。
※ 「尊者・兄弟ガブリエレ・M・アッレグラ」兄弟共同体-ローマ:「尊者・兄弟ガブリエレ・M・アッレグラ」フランシスカン国際兄弟共同体は兄弟たちの交流を進めるために、現実の正確な「家族年鑑2007-2008.記録・名簿・計画」についてメンバーが行なう慣例の「エレンカス」を拡大する事に決定しました。その目的は、共同体の内外両方でコミュニケーションと知識と兄弟的交わりの道具となる事で、まずプレゼンテーションと短い紹介から始まります。続いて昨年2006-2007学年度の共同体生活に関する記録と統計的データが示され、次にこの共同体の構成メンバーのデータを記載した名簿と、それに関連する本年度2007-2008年の統計データが発表されます。さらに共同体生活の全般的な予定と日程表、時間表に加えて、生涯養成のプロセスに向けた教材が紹介されます。最後に、共同体がこの新しい一年の間に歩みたいと願う旅程の議事一覧が示されます。詳細は下記サイトをご覧下さい:
http://www.ofm.org/fraternitas/articles/libro.pdf
※ 在世フランシスコ会員の列福:この度列福されたのは、1896年イタリアのカゼルタのマルチアニゼに生まれ、1962年帰天した神のしもべジャコモ・タグリオーネです。同氏は1921年から在世フランシスコ会員となり、「受難の使徒」会の創立者でもあります。16歳の時重症の脊髄性変形関節炎にかかり、1919年の深刻な霊的危機の後、ピエトレルチナの聖ピオの決定的な助けによって、自身の身体の完全麻痺を主に選ばれた者の特別の恵みとして見るようになりました。彼はその模範の力を通して、病床に臥す人々に、日々の交わりと主の十字架から得たフランシスカンの「完全な喜び」の秘密を教えました。列聖省の神学顧問は、彼の実践した徳の英雄的資質について好意的な判断を下しました。