2009年7月号


小さき兄弟会第187回総集会特集号

clip_image002小さき兄弟会第187回総集会が2009年5月24日に始まりました。主な祭儀は800年前にアシジの聖フランシスコの小さき兄弟会が誕生したポルチウンクラ聖堂のそばで行なわれます。

5月25日現総長の兄弟ホセ・ロドリゲス・カルバッリョの司式による荘厳な共同聖体祭儀が行なわれ、総集会が正式に開会しました。総長は説教の中で、聖パウロの大胆さと聖フランシスコの迅速さをもって緊急に聖福音を告げ知らせる事が必要であると強調しました。私たちの挑戦は、このミッションが試練と苦しみを引き起こすであろう地域に恐れず出かけていき、そこにとどまる事です。総長は全世界の兄弟たちにこう呼びかけました:

clip_image004「『小さき兄弟たちよ、行きなさい』と主の聖霊は言われます。真理の保護者としてではなく、謙遜なしもべとして行きなさい。そしてあなた方が無償で受けたものを無償で与えなさい。行って町の路上や広場で出会うすべての人々に、彼らが同じ唯一の御父の息子と娘であり、自分にとっては兄弟姉妹である事を知らせなさい。行って老若男女の信徒と協力して福音を伝えなさい。行ってまだイエスを知らない人々のそばにとどまり、あらゆる場所ですべての行ないにおいて福音の価値を証ししなさい。困難が伴う事は明らかですが、主は私たちに言われます-『勇気を持ちなさい、恐れるな』と」。

総長の報告

私たちの場合のように「ミッション-福音宣教」をテーマとする総集会では、こんにち「福音宣教のミッション」がフランシスカン的基調において何を意味するか、簡潔に思い起こす事から始めるのが適切だと考えます。

clip_image006福音化するミッションは、神体験と兄弟的生活と共に修道生活を構成する大切な柱の一つです。実にミッションは、強い神体験と本物の兄弟関係がある場合にのみ有効です。修道生活はこれらの分かち難い三つの要素を通して、神の国の現存と聖福音の活力と現実性とを示す確かなしるしに変わり、「福音を宣べ伝える」ものに変容します。

小さき兄弟には上述の三要素(信仰体験、兄弟的生活、ミッション)に加えて第四の本質的な要素があります:小さき者である事、それは私たちと神、兄弟たち、世界との関係を導き特徴づける次元です。私たちは単に宣教する兄弟共同体ではなく、宣教する観想的兄弟共同体でもありません。私たちはこれまで言ってきた事から、自身を「世界にある宣教者」として、「心を主に向けた小さき者である兄弟」と定義する事ができるでしょう。

clip_image008未来に目を向けて、会において地域レベル、全体レベル、またその中間というすべてのレベルで協働の文化を強める必要があります。自身の小さな世界に閉じこもろうとする傾向が、あらゆる共同体に強くみられます。そして管区合同や異文化間合同の共同体の増えるリズムはあまりに緩やかです。

協働の理解に質的な飛躍が必要です。それは人的資源の不足に対する救済策や打開策としてだけではなく、小さき兄弟として、教会としての私たちの召命の求めに対して、また言うまでもなく私たちの生きる社会が私たちに求める要求に対してよりよく応えるための重要な道具として考えられます。私たちは共同体の境界を越えて皆同じ生活様式を誓願した事を自覚し、会への帰属感の内に成長し続ける事が必要です」。

世界中に神の御言葉を宣べ知らせる者

5月30日午前中の全体会議をもって、今月24日からアシジの天使の聖母聖堂で開かれている第187回小さき兄弟会総集会の第一週が終了しました。

clip_image010この週の作業は総長の兄弟ホセ・ロドリゲス・カルバッリョの「信頼の内に未来に向けて。主に心を向け、兄弟として小さき者として世界にある宣教者」と題する総長報告に基づいて進められました。

全体会議と10の言語別グループ会議では、特に「ミッション」を始めとして様々のテーマが話し合われました。兄弟ホセは本会がミッションのために存在する事、そしてそれ故に兄弟たちは現代の人々の求めに創造力をもって惜しみなく大胆に応えられるよう、彼らの要求を捉える事のできる世界観を持たなければならないと何度も繰り返し述べました。

clip_image012人間のために御自身を貧しくされたキリストの観想から、小さき者は生まれました。その姿勢は貧しい人々の中で貧しくあろうと兄弟たちを駆り立て、すべての人々の顔の上に本来あるべき尊厳と神の姿をくっきりと現れさせます。

養成と諸宗教間・異文化間対話もまた、152人の代表がこの時に向き合ったテーマでした。兄弟ホセは報告の最後に、フランシスカン家族の未来に向けた自身の夢を述べています:

「私はこんなフランシスカン生活を夢見ています。それはより観想的で、イエス・キリストとの驚嘆するような熱烈な出会いに根差しており、世の底辺や境界や非人間的な修道院に向かって旅する勇気をもって、路傍にうち捨てられ、傷つき踏みにじられて安全を脅かされている人々の世界に神の慈しみにあふれた御顔と兄弟愛、和解、平和、連帯を宣べ伝えるものです」。

教皇ベネディクト16世の手紙

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「教皇インノセント3世が大きな慈悲の心をもって、聖福音の形に従った生活を望むアシジのフランシスコと仲間たちを迎えた日から、800年がたちました。教皇は実際に幸いなる聖フランシスコとその兄弟たちの希望をかなえ、次のように言いました:『兄弟たちよ、主と共に行きなさい。主があなた方の霊に示してくださったように、すべての人に悔い改めを説きなさい』(1チェラノ33,6-7)。

キリストの代理のこの素晴らしい祝福と勧告は豊かに完成された信仰と卓越した愛の心をもって受け入れられ、その後何世紀にもわたって聖性と宣教の情熱と、そして人々の間に人間的で霊的な生活を広めるあらゆる仕事とに多くの豊かな実を結んできました。実にもともとの始めから、小さき兄弟たちは福音的生活の模範を携えて世界中に出て行きました。そして簡単に言えば、カトリックの人々や遥かな遠方の人々、多様な宗教と文化の人々の間に、キリスト・イエスにおける永遠の救済の種を蒔き続けているのです」。  (教皇ベネディクト16世)

兄弟ホセ・ロドリゲス・カルバッリョが総長に再選

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兄弟ホセ・ロドリゲス・カルバッリョは第187回総集会のためにアシジの天使の聖母聖堂に集結した152人の代表によって、2009年6月4日小さき兄弟会総長に再選されました。選挙の典礼は教皇代理のホセ・サライヴァ・マルティンス枢機卿の司式によって行なわれ、再選された新総長に「全小さき兄弟会の印章」が手渡されました。

clip_image018 兄弟ホセ・ロドリゲス・カルバッリョは本年8月に56歳になります。2003年から総長を務めており、それ以前は総理事及び養成と勉学総書記、サンチアゴ・デ・コンポステラ(スペイン)のフランシスカン管区長、ヨーロッパ小さき兄弟連合議長、若い兄弟たちの養成担当者を歴任して本会に奉仕してきました。また9年間管区理事も務めました。

現在はヴァチカンの福音宣教省と奉献・使徒的生活会省のメンバーです。兄弟ホセ・ロドリゲス・カルバッリョは聖フランシスコの第119代継承者となり、2015年まで世界113カ国に生きる15,000人の小さき兄弟会メンバーを導きます。

兄弟マイケル・A・ペリーが副総長に選出

第187回総集会のためにアシジの天使の聖母聖堂に集まった152人の小さclip_image020き兄弟会代表は2009年6月5日、兄弟マイケル・アンソニー・ペリーを本会副総長に選出しました。

兄弟マイケルは1954年米国インディアナポリスに生まれ、同国「いとも聖なるイエスの御心」管区長を務めました。管区内で神学面の養成や修練院修了後の養成、国際JPIC委員会の仕事に携わる一方、10年間コンゴ民主共和国での宣教活動に奉仕しました。またカトリック救済サービスや米国カトリック司教協議会でも働いています。

学問面では宗教人間学で博士号、神学で修士号、司祭養成で神学修士号、歴史と哲学で学士号をそれぞれ得ています。

兄弟マイケル・アンソニー・ペリーは兄弟フランチェスコ・ブラヴィの後任となります。

新しい総理事

聖フランシスコの志に従い聖霊降臨祭の総集会に集まった小さき兄弟会は、次期6年間の活性化と権威の奉仕を委ねる兄弟たちを選出しました。総理事の平均年齢は53.8歳です。

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Vincent Mduduzi Zungu

Paskalis Bruno Syukur

Francis Walter

Roger Marchal

Vincente Tapia

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Vincenzo Brocanelli

Ernest Karol Siekierka

Nestor Inacio Schwerz

Julio Cear Bunader

 

役目を終えて退任する総理事の兄弟たちに、会への奉仕を心から感謝致します。

現代の人々に語りかける小さき兄弟会の800年

小さき兄弟会総本部は会則認可800周年(1209-2009)の記念のために2007年「アントニアノ・ディ・ボローニャ」に、創立の当初から現在に至るまでフランシスカンたちを駆り立ててきた精神を思い起こしてたたえるドキュメンタリー作成を依頼しました。

clip_image040 「アントニアノ・ディ・ボローニャ」は天使の聖母聖堂で開催中の総集会で6月15日、DVD「OmnesVocentur Fratres Minores(皆おしなべて小さき兄弟と呼ばれるべきである)」の抜粋を紹介すると共に、サブリナ・シモーニ氏の率いる児童聖歌隊「Mariele Ventre」の実演を披露して皆の注目を集めました。歌はDVDサウンドトラックから「訓戒の言葉27-愛のあるところに」を始め、豊富なレパートリーからの抜粋曲でした。

製作に2年を要したこのドキュメンタリーは現在英語、イタリア語、スペイン語の3ヵ国語でアクセスでき、フランシスカンの体験を世界中に語りかけています。

副総長の説教-2009年6月16日聖クララ聖堂

「神の御言葉に耳を傾け、神の愛と慈しみを表す方法を識別するようにというフランシスコの招きは、明確に『イスラム教徒や非キリスト教徒』のただ中に行く事を願う者だけに当てはまるものではありません。それは貧しきキリストに従って貧しきキリストのおられるところに向かうすべての者にとっての出発命令です。キリストの体の一員となり、悔い改めの兄弟姉妹の会-兄弟会やクララ会、在世会-の一員となるために、私たちには神がイエスと聖霊において抱きとめられたのと同じ世界を受け容れて生きる事が求められます。

神のこの受容を通して、神の原初の御言葉の響きが一人ひとりのすべての人間とすべての被造物の内に現存します。それは神の原初の御言葉の意味と目的を発見するプロセスを通して、コミュニティや兄弟共同体の中でイエスとの出会いを生き抜く中でも明らかにされます。キリストはそのようにして私たちが和解と希望のふるまいのさ中に自身の生活に加わるすべての人々を受け容れ、彼らの生活を私たちの生活や共同体や管区や修道会のためのパン種とし、変容の力とするよう、私たちを強く動かさずにはおきません。

これが私たちの招かれた、敢えてひるむ事のない福音的生活です。それは世界との出会いの聖福音であり、それを通して神の力と慈しみが私たちの内に明らかに顕れます。

インターネットとメディア

clip_image042 ウェブを通してインフォメーションを配信する事は、本会の主催するすべての国際会議にとって重要な事項の一つになりました。

それは今回の総集会についても言える事で、テクストや総会日誌、写真、MP3ポッドキャスト、ビデオクリップ、ライブ映像(You Tube)を含めてウェブサイトがほぼ分単位で最新化されています。

clip_image044 私たちの配信した400以上の記事、600の写真、83の文書、1時間40分のビデオ、6時間30分のオーディオには大変積極的な反応がありました。466,749のIPアドレスから9,061,510回の閲覧があり、151.1ギガバイトのダウンロード(2,392,002ページから)がありました。一番のピークは6月4日の総長選挙の時で、アクセスが非常に多かったため私たちのサーバーへの接続が困難になるほどでした。

総集会の全メンバーから感謝をこめて

clip_image046 総集会は以下を始めとする多くの兄弟の皆様の御協力に感謝致します:総集会書記の兄弟フランチェスコ・パットン、兄弟ガブリエル・マシアス、兄弟エドウィン・アルヴァラド・セグラ、兄弟マルコ・フレッディ、最終文書並びに法律問題担当専門家、兄弟ビル・ショートと兄弟フィリペ・イェイツを統轄役とする通訳・翻訳者、兄弟ステファノ・レッキアを統轄役とする議事録書記、財務と物流・後方支援担当の兄弟ジャンカルロ・ラティ、典礼委員会と広報担当室の兄弟ジョン・アベラと兄弟ミルコ・セリット。

また快く自在な尽力と奉仕をいただいた聖フランシスコ熾天使管区の皆様に特別の感謝を申し上げます。会場になったドムス・パチスとストイエのスタッフの皆様の根気強い働きと御厚意にも、同様に心から御礼申し上げます。そして世界各地で祈りと支援を通して私たちを支え、ウェブサイトも見て下さったフランシスカンやノン・フランシスカンの兄弟、姉妹、すべての友人たちに心から感謝致します。皆様ありがとうございました!

総集会の全ての資料は引き続きインターネット下記サイトで閲覧いただけます:
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