2011年12月号

そしてみ言葉は人となった

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「わたしは、すべての民に及ぶ大きな喜びのおとずれをあなたがたに告げる」(ルカ2.10)。クリスマスには、すべてのものが私たちに喜びをもたらします。この喜びのわけは単純で、時として人知の限りでは信じ難いほど途方もなくすばらしく、信仰からのみ理解できるものです。神は私たちのもとへおいでになり、御子は私たちの弱さを共に担われました。ついに私たちは、それほどに私たちを愛して下さる方に迎えられます(2011年クリスマスに向けた総長の手紙より)。

新しいフランシスカンCD「行きなさい!私はあなたたちを遣わす・・・」

兄弟ジャック・ジュエはシンガー・ソングライターで、現在フランスのブザンソンの共同体で生活しています。兄弟ジャックは1994年に誓願を立てて以来、アシジのフランシスコをへりくだりといつくしみと平和の人として、またすべての人々-特に困窮している人々-に対する兄弟愛の人として見出してきました。そして自分のいただいた宝物すなわち自身に命を与える信仰の賜物をお返ししなければならないと確信し、現代的なポップスのリズムの楽曲を歌って、喜びをこめて単純な心で証しをします。CDに収められた曲目は以下のとおりです:自信をもって道を歩む;人々の間、諸宗教の間の平和;最も貧しい人々との連帯;被造物の美;御子を示す聖母のお姿;すべての人への福音の善き知らせ。

福者ヨハネ・ドゥンス・スコトゥスを記念する学術式典-ローマ

福者ヨハネ・ドゥンス・スコトゥスの祝い日の2011年11月8日、教皇庁立聖アントニオ大学(PUA)はこのフランシスカン博士をたたえる学術式典を主催しました。イベントは大学の大ホールで行なわれ、新学長の兄弟プリアモ・エツィが開会の辞を述べました。

特別ゲストはワシントンの米国カトリック大学哲学科のトビアス・ホフマン教授でした。13世紀から14世紀の倫理学と認識論及び形而上学の諸問題の専門家として、教授は「自由を再考する:ドゥンス・スコトゥスの貢献」という題で講演し、特に現代の倫理学上の問題に照らして、自由の概念の発展に対する精妙博士の決定的な貢献を強調しました。

clip_image004次にスコトゥス委員会議長の兄弟バルナバス・ヘキッチが「四終(Novissimi)、すなわちドゥンス・スコトゥスの綿密かつ詳細な評価における信仰の究極の真理」という題で研究報告を発表しました。報告は、近日刊行の「Ordinatio」第14巻に収められた、信仰の究極の真理についてのスコトゥスの教え「四終」(Novissimi)を概観しています。学術式典は結びに、本会総長で大学理事長の兄弟ホセ・ロドリゲス・カルバッリョによる「福者ヨハネ・ドゥンス・スコトゥス-精妙にして実践的博士、無限の方の先唱者」という簡潔なメッセージを、養成と勉学総書記の兄弟ヴィダル・ロドリゲス・ロペスが代読して閉会しました。

キリスト教徒とユダヤ教徒とイスラム教徒が共に正義と平和の祈り

clip_image006ポーランドのカトヴィツェのシレジア大学神学部教室で2011年10月26日、「真理の巡礼者、平和の巡礼者」と題する国際シンポジウムが開かれ、三大一神教(キリスト教、ユダヤ教、イスラム教)の代表者たちが出席しました。内省の担当はカトヴィツェ市長のピオトゥル・ウスゾク氏、タデウス・ツァカンスキー師、シレジア大学神学部長のアンドレイ・ザドロ師、ポーランドのユダヤ教主席ラビのミカエル・シュドリヒ氏、同国イスラム連盟の宗教法顧問のネダル・アブ・タバク氏、それにクリストフ・ウィゾレック師でした。シンポジウムの最も重要な場面は、三つの言語での平和のアピールの朗読でした。兄弟ウィトスラフ・シティクOFMがポーランド語で、カトヴィツェのユダヤ教徒コミュニティのラビのエホシュア・エリス氏がヘブライ語で、カトヴィツェのイスラム連盟議長のコウバイシ・アブドゥル・ジャバル氏がアラビア語で、テクストを読み上げました。祈りと内省の間、シレジアの作曲家ヨゼフ・スクレク氏が「旅人」、「旅人-平和のしるし」と題する自作の楽曲を演奏しました。この集まりはカトヴィツェ大司教区とシレジア大学、カトヴィツェのフランシスコ会聖母被昇天管区が主催しました。

東部クロアチアのフランシスカンについての四部作

先ごろ兄弟エマニュエル・ホスクは、これまで執筆を続けてきた四部作の最終巻「グルガ・セヴァポヴィッチ、最初の自由主義運動の異議申し立て者」(原題Grga Čevapović, Osporavatelj ranog liberalizma。サレジオ会出版修道院、ザグレブ、2011年。全369頁)を出版しました。この四部作は18世紀中期から19世紀後期すなわちヨーゼフ主義と自由主義運動の時代を生きた4人のフランシスカンについて著したもので、こうしたムーブメントとそれがフランシスカンたちの生活に及ぼした有害な影響とについての分析を容易にする事を目的としています。これまで、フランシスカンの歴史学者も他の歴史学者も同様にこの時期についての研究をしてきませんでした。それ故兄弟ホスクの四部作は、18世紀と19世紀の東部クロアチア及びハンガリーのドナウ川平原すなわち離散したクロアチアの人々の故郷におけるフランシスカンの歴史について知る上で、非常に大きな貢献となっています。各巻とも英語の要約付です。

「アシジの福者エジディオ」宣教地区の第三回地区会議-ローマ

ローマ総本部で11月7日から10日まで、対話とミッションのための「福者エジディオ宣教地区」第三回地区会議が行なわれました。宣教地区の2つの共同体-聖マリア・ドラペリス「エキュメニカルと諸宗教間対話の国際共同体」(イスタンブール)とパレストリーナ「ヨーロッパ宣教者協会」(ローマ)-の兄弟たち全員が出席しました。会議は福音を生きて修道会に奉仕するための最善の方法を求めて、3日間対話を重ねました。

上記の両共同体と宣教地区からそれぞれ発表が行なわれ、そのテクストは宣教地区の志願期向け養成プログラムと共に本会のウェブサイトに掲載されています。会議は総長とも会合を持ち、11月10日荘厳晩課をもって閉会しました。晩課の間に地区の3人の入会希望者が志願期プログラムに受け入れられました。

「アンダー・テン」の兄弟たちの2012年度幕屋の集会

2012年6月2日から10日までメキシコのグアダラハラで開催される「アンダー・テン」(荘厳誓願宣立後10年未満)の兄弟たちの「国際幕屋の集会」招集にあたって、準備委員会はイベントへの参加に向けた幾つかの有用なインフォメーションを伝えています。委員会の下記メールアドレスあるいはウェブサイトをご活用下さい:メールunderten2012@ofm.org http://www.ofm.org/underten12/

エキュメニカルと諸宗教間対話の生涯養成-イスタンブール(トルコ)

clip_image008第7回生涯養成講座が2011年10月17日から31日までイスタンブールで、主催者と参加者双方の大きな情熱と共に開かれました。今回の講座には2つの特徴がありました。一つは講座の以下の3つのセクションが大変よく構成されていた事です:1)カトリック教会とフランシスコ会と対話の聖書的人間学的な土台とにおける「対話の奉仕」の全体的ビジョン;2)諸宗教間対話-特にイスラム教とキリスト教間;3)エキュメニカルな対話。

もう一つは、黙示録の7つの教会の地の見学に加えて、2つの諸宗教間の祭儀があった事です。一つはアシジ精神の集まりの25周年記念にあたって地元教会と行なわれ、他の一つは音楽と歌と踊りを通して祈るデルヴィーシュ(イスラム神秘主義のスーフィ修道者)の友と、兄弟たちとで行なわれました。

フランシスカン新刊の栞

*スコトゥス委員会監修及び研究「福者ヨハネ・ドゥンス・スコトゥス。Ordinatio。第4書」(原題B. Ioannis Duns Scoti. Ordinatio. Liber quartus. A distinctione decima quarta ad quadragesimam secundam (Quaestiones de poenitentiæ matrimonii sacramentis))。バチカン出版局、バチカン市、2009年。全567頁。

スコトゥス委員会によるヨハネ・ドゥンス・スコトゥス全集原文校訂版の第13巻が刊行され、秘蹟についての第4書が完結しました。実際、第11巻において、各秘蹟を照合しつつ秘蹟の定義とその本質、特に恵みの能動的な因果性を取り上げた1と2の特徴と区別についての導入的前置きの後、内容は個々の秘蹟へと移ります。そのようにして第11巻は洗礼と堅信の秘蹟について、第12巻は聖体について検討し、最後に第13巻ではゆるしと病者の塗油と叙階と結婚の秘蹟の論点についての検討が展開されます。

*スウェーデン語版「聖フランシスコの書き物」(原題Franciskus av Assisi –Skrifter)。ヴェリタス出版、ストックホルム、2011年。

兄弟ヘンリク・ロエルヴィンクOFMの働きのおかげで、聖フランシスコの書き物のスウェーデン語版は現在ヴァドステナのブリジット修道会姉妹たちの出版修道院でも出版されています。スウェーデンはプロテスタントの宗教改革の時までフランシスカンによって福音化され、常にフランシスカン霊性と特別の関係を保ってきました。幾つかの中世教会に、今も決して忘れられる事のない存在の結実をみる事ができます。現在ストックホルム市内にある2つの主な教会は、昔のフランシスコ会(リダルホルム)とクララ会(クララキルカン)の古い教会で、今はルーテル教会に姿を変えていますが、かつてと同様に祈りと貧しい人々の迎え入れの場となっています。エコロジーの保護聖人はスウェーデンの人々に大変愛されています。兄弟ヘンリクはブリジット会姉妹たちの霊的センターに携わっており、最新版のフランシスカン・テクストに霊感を得た紹介と注釈を加え、非常に優れた現地語翻訳を実現させています。

*ジョージ・アクィリナ著「マルタのフランシスカンたち」(原題Il Frangiskani Maltin (Ta’ Giezu) 1482-1965 ( sal- Koncilju Vatikan II))。マルタ、2011年。全773頁+ 巻頭31頁。

clip_image010 フランシスコ会マルタ管区は、同管区所属の歴史学者である兄弟ジョージ・アクィリナOFM執筆による、およそ500年間を網羅した公文書付き「管区全史」を発表することを誇りとしています。本書はマルタへの最初のフランシスカン到着に始まり、シチリア島に進んだオブセルバンテスの小さき兄弟会の改革ムーブメント、聖ヨハネの騎士団の時代のマルタにおけるフランシスカンの存在、そしてシチリアの母管区から自治権を獲得して分管区となりついに自治管区となるまでの、マルタ管区の長くたゆみない努力の歴史を語ります。

*ロザレス・アントニオ-マリア著「我が息子フランシスコ」(原題My Son, Francis)。フランシスカン開発センター出版、セブ市、フィリピン、2011年。全182頁。

本書はアシジの聖フランシスコの母であるピカ夫人が最初の伝記学者の兄弟チェラノのトマスに語った、聖人の生涯について著しています。また「帰天式」の祭儀と8月2日の「ゆるしの祝い」のための示唆も収めています。エルサレム聖救世主修道院内の、聖フランシスコの生涯を描いた絵の写真も盛り込まれ、充実した内容の書となっています。

お知らせ-世界のあちこちから

オンラインの新しい巡礼ガイド「聖墳墓教会」:オンライン「巡礼の新ガイド」は「聖地のための聖地協会」サイトから閲覧でき、紙ではクリスチャン・インフォメーションセンターで入手可能で、聖墳墓教会の見学に大変役に立ちます。掘り下げた詳細な知識が読みやすく紹介されています。この簡便な小冊子のガイドは、時間の関係で表面的になりがちな聖墳墓教会の見学を内容豊かで実りあるものとするために、巡礼者にとっても案内人にとっても有用な道具です。

またウェブ上で巡礼者が訪問する場所を確認できるように、3次元地図を駆使して聖墳墓教会の画像を多数掲載しています。詳しくは下記サイトをご覧下さい http://www.proterrasancta.org/

スペインの兄弟の哲学博士論文検討:スペインのフランシスコ会「ホルタの聖救世主」管区の兄弟フランシスコ・ハビエル・カルペ・メレンドレスは、10月18日、「ハビエル・ズビリの著作におけるヨハネ・ドゥンス・スコトゥスについて」という自身の博士論文について主張を述べ、検討しました。モデラトールは兄弟マヌエル・ブランコと兄弟ホセ・アントニオ・メリノでした。

clip_image012第20回蟻学シンポジウム開催-ペトロポリス(ブラジル):第20回蟻学シンポジウムと南北アメリカ大陸の蟻学者の初めての集まりが2011年10月16日から20日まで、ブラジルのペトロポリスのフランシスカン神学研究所で開かれました。特に今年は、ブラジルの蟻学界パイオニアの一人であり、ペトロポリスで最初に蟻についての研究を始めたフランシスカンの兄弟トマス・ボルグマイヤーを追悼する特別のイベントとなりました。詳細は下記サイトに掲載中です。http://www.myrmeco2011.com.br

アシジ精神-パキスタン:パキスタンの洗礼者聖ヨハネ分管区のフランシスカンたちは南アジア・オセアニア協議会(SAAO)の福音宣教事務局書記の兄弟ロバート・パスカルと共に、社会福祉団体「カルヴァン-エ-アマン」と協働して、アシジ精神の日をたたえるプログラムを主催しました。そして他の信仰の指導者たちと共に世界の平和を祈り、平和のろうそくに火をともしました。集まりにはパキスタン・カトリック教会の司教たちも参加して、出席者全員に平和のメッセージを伝えました。

「アシジ1986-2011-何が受け継がれたか」:フランシスカン霊性研究所と「霊性と諸宗教間対話」講座はモンシニョール・ルイジ・パドヴェセを追悼して、ヨハネ・パウロ二世の呼びかけにより世界の諸宗教の代表が一堂に会して行われた「アシジの平和の祈り」集会の25周年を記念する一連の会議を、PUAで開きました。今後の会議の日程表は下記サイトに掲載されています。
http://www.antonianum.eu/culturaleView.php?lingua=italiano&id=188