2011年11月号

教皇がアシジ巡礼-アシジ精神25周年記念祭

教皇ベネディクト16世は2011年10月27日、世界の大宗教の指導者たちと共にアシジを巡礼しました。それは内省と対話の日、平和と正義のための祈りの日であり、1986年教皇ヨハネ・パウロ二世の呼びかけによって開かれた歴史的な集まりの25周年を記念して追体験する特別の時でした。記念祭のために教皇の示したテーマは「真理の巡礼者、平和の巡礼者」でした。

clip_image002 福者ヨハネ・パウロ二世によって進められた集まりの日との霊的なつながりの内に、このアシジの日は現教皇の特定の貢献と位置づけられています。実際に教皇はその社会回勅の中で、平和は真理に満たされた愛によって支えられた献身の結実であると述べています。今、平和は新たに「真理に根ざした愛」という名で呼ばれるでしょう。平和と同じ本質を持つ公正な社会的・政治的秩序の構築は、なぜ、そしてどのように、人間についてのグローバルな真理の探求にかかっているのでしょうか。なぜ、どのように、人間の良心に刻み込まれた道徳の第一原理に、そして究極的には真の至高の善すなわち神を絶え間なく望み求める心に、かかっているのでしょうか。

聖地協会の年次会議-ローマ

ローマの教皇庁立聖アントニオ大学(PUA)で2011年10月22日、聖地特別分管区長と、聖地でのプロジェクトを支援するボランティア組織との間で第4回聖地協会年次会議が開かれました。今回のテーマ「信仰の自由:平和への道」は、世界の大宗教の指導者たちの歴史的な集まりの25周年を記念して教皇ベネディクト16世の招集により2011年10月27日アシジで行なわれた記念祭と、深く結びついています。この重要なイベントを受けて、会議では同じテーマを聖地の状況により密接に当てはめ、「信仰の自由:聖地の平和への道。信仰の自由を強めるための協会とボランティアの役割」という主題について内省する事になりました。そして聖福音に基づきつつ、教皇が言われたように、何故信仰の自由を保証する事が平和に到達するための根本なのかという問いへの答えを求めて取り組みました。

スロベニアにおけるアシジ精神

clip_image004スロベニアのフランシスカン家族はその始まりから、総長たちの要望に従ってアシジ精神の祈りを推し進めてきました。フランシスカン家族の総長たちが1987年10月4日全ての兄弟に宛てて送った手紙には、以下のように記されています:「毎年10月27日にはいつも、聖フランシスコのすべての兄弟姉妹たちが、平和の主の勧められる最善の方法でアシジ精神を祝われますようお願い致します」。

祈りの日には、家族は平和の最も重要な土台である祈りと断食と巡礼を共に行なおうと常に努めてきました。大きな喜びと共感をもって、司教たちもこうした祈りに加わりました。

その後フランシスカン家族の長上たちは委員会を任命し、アシジ精神の内に会議や研究デーや平和の祈りを実現させるためのあらゆる作業に携わり準備するという任務を託しました。委員会はハネス・サンペルOFMConv、ステイン・ベスターOFMCap、ロベルト・バチッチOFMの兄弟たちから成り、この数年間、常に10月27日の祈りに備えて平和の問題をテーマとする様々の研究デーを主催してきました。その後、クララ会の深夜の祈りへの参加を含め、同会との霊的黙想が何度か提案されました。

2000年には兄弟姉妹たちとSFOのすべての共同体に行き渡る様に灯火が用意され、少なくとも毎月27日の平和の祈りと聖体祭儀の間その明かりが灯されるようになりました。また家庭でも平和のために祈れるようにと、「聖フランシスコの平和の祈り」が信者全員に配布されました。

若者たちも1995年からスロベニア国内の様々の町の街頭で、歌や祈りを通して人々に平和を届ける機会を得ています。このイニシアティブは「手を貸して」(Podaj mi roko)という名で、平和について語る聖書の言葉と共に、小さなろうそくと祈りが町をゆく人々に手渡されます。

そして今年も、アシジ精神の25周年記念祭に向けて2011年10月22日に研究デーが開かれ、上記三人の兄弟たちがスロベニアにおけるアシジ精神の始まりについて証しすると共に、将来の展望を分かち合っています。

第13回在世フランシスコ会総集会

在世フランシスコ会(SFO)の第13回総集会が2011年10月22日から29日まで、ブラジルのサンパウロ市の聖信仰司牧センターで開かれました。今回初めて南アメリカでの開催となりました。現在同大陸のSFO会員は会の1/3を超え、フランシスカン・ユースも相当数を占めています。総集会の主なテーマは「福音化するために福音化される」で、100人以上の人々が出席しました。詳細は下記サイトに掲載中です:http://www.ciofs.org/

新しいフランシスカン学院が開校-パリ

フランシスカンの莫大な文化的・芸術的遺産の研究と伝達を奨励するために、フランスの第一会-小さき兄弟とコンヴェンツァルとカプチン-の指導者たちはパリに新しいフランシスカン学院を設立する事を決定し(2009年認可)、すでに準備を進めてきました。開校式は2011年11月18日から19日まで、市内の聖フランシスコ修道院で祭儀とシンポジウムをもって行なわれます。学院は13世紀に設立されたパリ大学のフランシスカン教父たちの歩んだ道筋の一環をなすもので、何世紀にも亘るフランシスカン思想とその影響を広く明らかにするために、「文化の諸分野における研究と探究と養成を奨励し促進させる」事を約束しています。又インターネットを活用して修士号レベルの「フランシスカン研究」修了証書が用意されます。学院の「後援者」は以下のとおりです:教皇庁立聖アントニオ大学、パリ・カトリック研究所、セーブル・センター(イエズス会)、ベルナルディン大学、フランス国立公文書館。新学院の初代学長は兄弟クロード・クーロ、名誉委員会議長は今世紀のフランシスカン思想研究の第一人者である学士院会員アンドレ・ヴォーシェ氏がそれぞれ務めます。

フランシスカン新刊の栞

*アイルランド国立美術館刊行「フランシスカンの信仰:アイルランドにおける宗教芸術1600-1750」(原題Franciscan Faith: Sacred Art in Ireland AD 1600-1750)。 本書はアイルランド国立美術館で開催され大成功を収めた、近世中期から末期におけるアイルランドのフランシスカンたちの文化遺産展覧会に伴って出版されました。カタログとして、本会の保存するおよそ50点の最良の作品群が紹介されており、その大部分はパテナ(聖体皿)ですが、彫刻や家具調度品、印章も含まれています。教会の装飾や個人の献納による17世紀と18世紀の銀製聖杯の見事なコレクションなど、アイルランドのフランシスカン文化について様々の面から取り上げた一連のエッセーも掲載されています。

*フランシスカン研究所刊行「フランシスカンとして死ぬこと。永遠の命に至る帰天の道へのアプローチと、同じ道をゆく人々への同伴」(原題Dying, As A Franciscan. Approaching our Transitus to Eternal life and Accompanying Others Approach Theirs)。ニューヨーク、2011年。全118頁。 21世紀のフランシスカン家族の内にある私たち兄弟、姉妹、信徒を始め、アシジの貧しき方と何らかの形で結びついているすべての人々の多くは、共同体や家族の中で、命の満ちる道への同伴を必要とする人々に囲まれています。さらに私たち一人ひとりも、いつの日かその同じ道を歩みます。

主のもとへ旅立つために、そして同じ道をゆく他の人々を助けるために、フランシスカン的な特有のアプローチがあるでしょうか。フランシスカン的伝統や歴史や象徴や典礼などの中に、この最後の巡礼の間、私たち皆が自分自身や自分の同伴する他の人々のために役立てられる特有の要素があるでしょうか。そうです、それはあるのです!そして本書はこうした問いに真摯に答えます。

*「第15回夏期講座。アンダルシアにおけるフランシスカニズム:資料文書、伝記、イコン学(2009年8月4-6日。於ルセナ、コルドバ)」(原題XV Corso Estivo. Il francescanesimo in Andalusia: documentazione, bibliografia e iconografia)。エル・アレメンドロ出版、コルドバ(スペイン)、2010年。全389頁。 本書は表題に示されたコルドバのプリエゴ夏期講座の議事録を収めています。紹介を進める前に、この講座の始まりとスペイン・フランシスカン研究協会(AHEF)との密接な関係について触れなければなりません。同協会は1987年12月に生まれました。その中心的な推進者は、フランシスコ会カタルーニャ管区の図書館司書と公文書館員を務めていた故ホセ・マルティ氏でした。協会規定はその目的を、「聖フランシスコの書き物や伝記、聖人によって創立された修道会及び現在「フランシスカン」の共通要素で知られる諸修道会(オブセルバンテス派、跣足派、カプチン、律修第三会、クララ会、コンセプショニスト等、OFMの略号下に置かれる)における、聖人の歴史的な人物像についての知識を深める」事と定めています。上記のフランシスカン諸グループについての考察と研究は、その神学的・哲学的・歴史的な、さらには芸術的・文学的・社会学的な影響力と投影図を包括的に捉え、網羅するに違いありません。

お知らせ-世界のあちこちから

ブラジルのフランシスカン神学研究所報:ブラジルのフランシスカン研究所(ITF)の神学部は、「ITF評論」第2号を発送中です。また、フリップ技術を使って表示された、ウェブ上でも印刷された本と同じ体裁で読む事のできるデジタル版ITF評論もまもなく配信されます。詳細は下記サイトをご覧下さい。http://www.youblisher.com/p/174905-Revista-ITF-n-2/

フランシスカン資料集の諸言語翻訳版についての国際セミナー:フランシスカン資料集の諸言語翻訳版についての国際セミナーが2011年10月28日、clip_image006ミラノのカトリック聖心大学で開かれました。セミナーは教皇庁立聖アントニオ大学のフランシスカン中世上級研究所とカトリック大学が、国際フランシスカン研究学会及びフランシスカン研究の大学合同センター、フランシスカン霊性研究所との協働で開催しました。始めに多様な教授陣の発表があり、その後「翻訳から新たな出版プロジェクトへ」というテーマで円卓会議形式のディスカッションが行なわれました。提言者は以下の兄弟たちです:レオナード・レーマン(ドイツ語版担当)、ジャック・ダラルン(新フランス語版)、マイケル・ブラスティック(新英語版)、アリスティーデ・カバッシとルチアーノ・ベルタッゾ(イタリア語版)、フェルナンド・ウリベ(スペイン語版)。

ピエモンテに管区合同修練院-イタリア:2011年9月17日は、南イタリア管区長協議会(南COMPI)の7つのOFM管区の合同修練院が、ピエモンテ・マターセに公式に開設される歴史的な特別の日でした。「生涯養成と初期養成、福音宣教、召命の促進、文化」(COMPIプロジェクト28)についての数年にわたる傾聴と対話を経て、ついに兄弟たちは共に新たな旅路に出発しました。

clip_image008南スラブ協議会の修練者集会:南スラブ協議会の修練者会議が2011年9月22日から25日までスロベニアで開かれ、ボスニア・ヘルツェゴビナとクロアチア、スロベニアから5人の修練院長と30人の修練者が参加しました。フランシスカン・カリスマはこれらの地域で800年近くの間存在し、今もなお多くの若者たちを、小さき兄弟会の中で聖フランシスコの模範によって福音に従うように惹きつけてやみません。

エディット・シュテインについての国際会議-スロバキア:「エディット・シュテインにおけるフッサールとトマス・アクィナス」と題する国際会議が2011年10月6日から8日まで、スロバキアのルゾンベロック・カトリック大学で開かれました。各国から参加した講演者たちが、エディット・シュテインの哲学-まず初めにエドムンド・フッサールの現象学、次にトマス・アクィナスの思索に沿って進んだ-において考えられる「連続性」について、それぞれ主張を述べました。特に意義深かったのは、エディット・シュテインの書き物の中の「個別化の原理」(principium individuationis)の問題と、ドゥンス・スコトゥスの学説との「合致」の可能性について、近年兄弟フランチェスコ・アルフィエリOFMによって提案された解決案が多数の研究者の合意を得た事でした。トマス学派的思索との連続性を後ろ盾としつつ、長年の間、人間と個人的人格の問題がシュテイン学者によって考察されてきた事を考えると、その意味は大きいと言えます。詳細は下記サイトに掲載中です:http://ff.ku.sk/images/stories/editastein/index.html

フランシスカンNGOの「FMO」新代表:オーストリアのウィーンに根拠地を置き、ヨーロッパ各地に活動を展開するフランシスカンNGO「中央・東ヨーロッパのフランシスカン」(FMO)は、オーストリア管区の若き管区長の兄弟オリバー・ルッゲンタールを新しい代表に迎えます。先のアルプス以北フランシスカン協議会(COTAF)総会の席上で熱意をもってこの任命を承諾する時、兄弟オリバーは中央・東ヨーロッパにおけるフランシスカンの存在の重要性を強調しました。この道徳的・経済的な危機の時代にあって、その献身は真のミッションとなっています。

ローマ聖アントニオ大学の新学年度開始:ローマの聖アントニオ大学(PUA)の2011-2012新学年度の始業式と兄弟プリアム・エツィOFMの新学長就任式が2011年10月20日、同大学理事長を務めるOFM総長の兄弟ホセ・R・カルバッリョ司式による聖体祭儀と共に行なわれました。