7月号

アシジのベネディクト16世

ベネディクト16世はアシジで、聖フランシスコが現代の世界をなお魅了し続ける人物である事の秘密を明かしました:それは愛です。

「回心したフランシスコの生活はどのようだったでしょうか」と、教皇はミサの説教で問いかけました。「それは偉大な愛の行ない以外の何物でもありませんでした」。教皇の巡礼は、小さき兄弟会の創立者の回心から現在に至る800年を呼び起こしました。

「フランシスコの生き方を説明するものは、キリストへの回心であり、自身をキリストに変え、キリストの完全な似姿になりたいというフランシスコの望みです。このゆえに、彼は現代の大きな課題に関してさえも、私たちにとって非常に同時代の人に思えるのです」。

お告げの祈りの最後に、教皇は次のように祈りました:「日々の生活の何千という小さな行ないを通して『主の平和の道具』となる事を引き受ける人々が増えるよう、平和の人・聖フランシスコが私たちのために主に願って下さいますように。責任ある役割を担う人々が、平和に対する熱烈な愛と、適切な手段を選択して平和を実現するという不屈の意志とによって鼓舞されますように。アシジの小さき貧者が優しい心で愛し、霊感を受けた力強さをもって歌った聖母マリアが、私たちを助けて下さいますように。そして神の御子の受肉を通してその胎の内に成就した愛の奇跡の内に、私たちが平和の秘密を見出すのを手伝って下さいますように」。

OFM枢機卿と司教の集まり-アシジ

本会の枢機卿と大司教並びに司教の集まりがアシジで開かれました。これは小さき兄弟会創立800周年記念祭の準備として、総理事会の希望する様々のイニシアティブの枠組みの中で計画されたプログラムです。

集まりは枢機卿7人中の6人と、司教95人中の60人が出席して6月19日にポルチウンクラで始まり、2007年6月22日に偉大な教皇インノセント3世を記念して、ローマのラテラノ聖ヨハネ聖座大聖堂での荘厳な聖体祭儀をもって終了しました。司式は司教省長官のジョヴァンニ・バッティスタ枢機卿がとり行ないました。

歴史的な集まりへの出席者を心から歓迎して、総長はとりわけ次のように述べました:「これこそ、私が望み、探し求め、心からしてみたいと熱望していたものです(1チェラノのトマス,22)。親愛なる兄弟の皆様、フランシスコが800年前に示したこの答えに照らして、そして私たちが聖福音を「会則と生活」とする事を引き受けた誓願の日の誓約に照らして、「福音を忠実に守る事によって、イエスの御跡にいっそう近く従う」(会憲5,2参照)ために、緊急に自分自身に問いかけなければなりません:私たちは聖福音とどのように関わりあってきたでしょうか。聖福音は、フランシスコを始め、過去から現在に至る数多くの兄弟たちの生活においてそうであったように、本当に今の私たちの生活においても命の源となっているでしょうか。聖福音の求める事は、私たちが生活の中で具体的な選択をする時の、根本的な規範となっているでしょうか。あるいはそれはたくさんの書物の中の一冊に過ぎず、私たちが便宜上依拠する一つのイデオロギーでしかないのでしょうか。私たちの内にはその両方が少しずつ共存しているかもしれません。創立の恵みのプロジェクトは、本会創立800周年を祝う旅路の第二年目である本年に、明晰さをもってこの事に向き合うよう、そしてそれを私たちが教会内で行なっているいかなる職務からも別個に切り離し、大胆さをもって、小さき兄弟としての私たちの生活プロジェクトの核心に据えるよう求めています」(総長の説教より)。

福音宣教の新しい形-メキシコ

福音宣教の新しい形と新しい宣教地についてのセミナーが、「グアダルペの聖母」協議会の管区合同福音宣教事務局の主催により、2007年4月21日から24日までメキシコのサンチアゴ・デ・クェレタロで開かれました。協議会の約40人の兄弟たちと、一部のフランシスカン姉妹たちが参加しました。総理事の兄弟ルイス・カブレラと総本部福音宣教総書記の兄弟ネストル・シュウェルツも出席し、同市に集まっていた協議会の各共同体の管区長も折々参加しました。

セミナーの総合的な目的は、すでに協議会の諸共同体に存在する新しい形を確認し、フランシスカン・カリスマといっそう調和させるよう促す事でした。作業では以下の三点に重点が置かれました:現在の状況と本会の展望及びメキシコ教会の宣教者の活性化を考慮した、メキシコと中央アメリカにおける宣教の歴史の考察;新しい福音宣教の形の有意義な体験の分かち合い;18世紀のフランシスコ修道会宣教施設群のあるシエラ・ゴルダの見学。

セミナーで行なわれた作業の概要は、後日協議会の管区合同福音宣教事務局から管区長や管区事務局責任者に郵送されました。それはまた、セミナー中に現れてきたテーマを検討し、2008年にアルゼンチンで開かれるラテン・アメリカ宣教者会議に向けて各共同体の準備を励ますという仕事を引き受ける事でもありました。

インド諸部族の中のフランシスカン

インド管区は中国とミャンマーの国境に位置する北東部の遠隔地域に、2つの存在を開始しました。どちらもアッサム州にあり、その内一つの共同体はグワハチ市内北部のカムルプ地区に、もう一つはサルバリ地方のボンガイガオンに隣接する司教区内の、8つの村落の真ん中にあります。2つの共同体は現地の部族のすぐそばに生活しています。主な部族は山岳民族のボド族とガロ族で、地元の「アッサム人」住民からもヒンドゥ教のカースト制からも切り離されています。

これらの部族は社会から取り残されて貧困の中に生きており、どのような社会福祉サービスも全く受けていません。固有の言語を持ち、古来の伝統と人間的価値を守って生活しています。同時に彼らはキリスト教のメッセージに最も心開かれた集団であり、その中から多くの召命があります。

この地域のカトリック教会は非常に若く、未だ養成途上にありますが、大変急速に発展しています。グワハチだけでも数年の間に司教区が1つから4つに増えました!

小さき兄弟の存在は現地の教会を支え、福音的価値を広めることによって地元の伝統を高め、特に部族を取巻く周辺地域の家族の子供たちに教育を提供する事を目的とします。そのためどちらの共同体も2つの学校を運営しており、それが家族と接触する最善の機会となっています。

総理事の兄弟アンブロジオ・ヴァン・シと海外宣教モデラトールの兄弟ヴィンチェンゾ・ブロカネッリは5月中旬この地域を訪問し、キリスト教徒や土地の部族の生きている非常に困窮した状況と、これらの存在が私たちと私たちの未来に示す大きな重要性とを、直接に目のあたりにしました。二人は兄弟たちを激励すると共に、共同体を発展させて、将来2つの存在を管区の宣教地区とする可能性も含め、「宣教する観想的兄弟共同体」のプロジェクトを最大限に広く実践的な意味で遂行するよう促しました。
アジアの宣教者の集まり

近代ミッション史上初めて、アジアの様々な「宣教地区」に居住して働く宣教者たちが一堂に会した内的刷新と生涯養成の集まりが、2007年5月21日から30日までタイのラムザイの修道院で開かれました。集まりには5つの宣教地区から10カ国の異なる国籍の宣教者たち22人が参加しました。最初に様々の宣教の現実が発表され、「歴史的な諸事情による困難」を伴う、驚くべき多様な全体像が明らかになりました。その後宣教者たちは、先頃臨時総集会で勧められたエマオの弟子たちの方法論に従って宣教体験を読み直し、分かち合いました。また2006年にバンコクで開かれた「アジアにおける福音宣教会議」の公文書を検討して、アジアの教会の方向性についても学びました。一同は集まりの間にバンコク枢機卿と教皇大使の訪問を受けました。

コンヴェンツァル会の新総長

コンヴェンツァルの小さき兄弟たちの総集会がアシジの大修道院で開かれ、2007年5月26日聖霊降臨の祝い日前夜に、兄弟マルコ・タスカが新総長に選出されました。兄弟マルコは1957年6月9日イタリアのパドヴァのサンタンジェロ・ディ・ピオヴェに生まれ、1977年にフランシスカンとなり、1983年司祭になりました。パドアの聖アントニオ管区長でした。現在4,528人のコンヴェンツァル兄弟が、五大陸の63カ国に存在しています。

フランシスコ会律修第三会の新総長

フランシスコ会律修第三会(TOR)の第110回総集会が米国ペンシルヴァニア州ロレトの聖フランシスコ大学キャンパスで開かれ、2007年5月27日に米国「いとも聖なるイエスの御心」管区のマイケル・J・ヒギンズ神父が総長に選出されました。マイケル・J・ヒギンズ神父は1951年ボストンに生まれ、1980年6月に初誓願、1984年に荘厳誓願を宣立し、1985年6月に司祭に叙階されました。
2001年に副総長に選出され、在世フランシスコ会への霊的補佐職も務めました。TORは誓願を立てた1,000人以上の修道者から成り、現在16カ国に存在しています。

新任宣教者が出発-ブリュッセル

総長はフランシスコが福音と宣教者の召命を受けたアシジのポルチウンクラの聖堂で6月18日、4人の新しい宣教者に会則と聖ダミアノの十字架を授与しました。

新任の宣教者は、ポーランド出身で中央アフリカ共和国の宣教地区に赴任する兄弟ジョルダン・ガズダ、グァテマラ出身でモロッコのフランシスカン連合に赴任する兄弟エドウィン・アルヴァラド・セクラ、イタリア出身でコンゴ-ブラッザヴィルの宣教地区に赴任する兄弟アドルフォ・マルモリーノ、ヴェトナム出身で極東に赴任する兄弟ドミニク・グエン・グー・ヒエウの4人です。

上記の兄弟たちは、コンヴェンツァルの兄弟2人とカプチンの兄弟1人と一緒に、ブリュッセルの「ノートルダム・デ・ナシオン」共同体で宣教者養成講座を受けました。講義課程はローマとリエティ渓谷のフランシスカンゆかりの地、ラヴェルナ、アシジへの巡礼をもって終了しました。

お知らせ-世界のあちこちから

※ 本会の新しい共同体:総長は理事会の承認を得て、新共同体設立の政令を公布しました。それによりマダガスカルに、ナイロビ聖フランシスコ管区に従属する「無原罪の御宿り」分管区が設立されました。また、フィリピンには「パドアの聖アントニオ」自立分管区が設立されました。同分管区は以前の洗礼者聖ペトロ管区の南部地域に当たります。

※ 養成担当者向けの修士課程:フランシスカン霊性研究所は養成担当者向けに養成の修士課程を開講しています。詳細及び2007-2008年度の講義要覧については、PDFフォーマットでfascicoloを御覧下さい。

※ ボリヴァリア協議会の養成と勉学事務局は、協議会内の養成担当者とJPIC(正義と平和と被造物の統合)担当者のために、JPICについて2週間の講座を開きます。講座は2007年8月13日から24日までボゴタで行なわれ、ローマのJPIC担当室の総補佐の兄弟ヴィセンテ・フェリペOFMが講演します。

※ 本会の生涯養成モデラトールの第二回国際会議が、2007年10月13日から28日まで天使の聖母聖堂で開かれます。養成と勉学総事務局は、今も皆様の登録を待っています。締切は2007年7月28日です。モデラトールは上記期日までに御登録下さい。

フランシスカン新刊の栞

「小さき兄弟会会憲Ⅰ(13世紀)」。(原題Constitutiones Generales Ordinis Fratrum Minorum 1 (Saeculum 13))。クアラッキの兄弟編集者、グロッタフェラータ、2007年。全400頁。

総理事会は小さき兄弟会創立800周年を記念する活動と出版の計画の一環として、本会の最初から現在に至るまでのすべての会憲を集めて集大成し、一つの全集にする事を決定しました。作業はクアラッキの兄弟編集者の、特に兄弟チェザーレ・チェンチと兄弟ロマン・ジョルジュ・メイヨーに委ねられました。私たちはここにその第一巻の刊行をもって、この仕事の最初の結実を提示する事を誇りに思います。本巻は、初期フランシスカンの世紀の歴史の根幹をなす、13世紀の会憲の新校訂版を収めています。

2007年-大胆に聖福音を生きよう!

フランシスコは神に揺さぶられ、ひっくり返され、印をつけられました。神はナザレのイエスにおいて足を洗うために身をかがめられ・・・、自ら進んで御自身を私たちの手の中に与えて下さいました:サンダミアノの十字架からミッションの福音書へ、グレッチオへ、ラヴェルナへ、そして死の前の晩餐の物語へ・・・フランシスコは聖福音によって導かれ、変容しました。彼は実に聖福音の人でした。
フランシスコは何も減ぜず何の変形も加えずに、後退する事なく聖福音を信じ、忠実に付き従いました。ミッションについての福音書の教えを聴いた後に最初の仲間たちとローマへ赴いた時のように、教会の「賛成表明」だけを求めました。

聖福音はフランシスコを、金銭を始めとしてあらゆる偶像やあらゆる隷属から解放しました。フランシスコにとって、清貧はナザレのイエスでした。それは修行的次元であるよりはむしろ神秘的次元であり、私たちの内に神のためのスペースを作る事です。このようにして、従順と権威は、どちらも等しくイエスのように御父に献身し、神の国のために働く事を意味します。

こんにち教会は、「奉献生活は、奉献された最高のかたであり、神の国のために働く御父の最高の宣教者であるイエスが受け入れ、弟子たちに勧めた生活様式を、よりよく模倣し、教会の中でたえずそれを現わしている」(奉献生活22)と指摘しています。それはフランシスコが生きたいと願った事の確認にすぎません:それはすなわち、信仰と兄弟性とミッションの、すべてにおける福音的次元です。