2008年4月号

福者ヨハネ・ドゥンス・スコトゥス帰天700周年に際して

clip_image006[4]神のみ言葉は結晶化した命題の堆積ではありません:それは生きた言葉です。それは神の真理であり、従ってその理解と意義は尽きる事がありません。み言葉は歴史の中に現れ続けるダイナミックな力で、内省と体験と教会の歴史的推移を通して強められます。私たちを「真理の充満」へと導く聖霊の現存は同時に、常に新しく創造的な理解をもって読み解き、忠実さをもって、人間のあらゆる危うい妥協を回避した解釈をするよう鼓舞します。ヨハネ・ドゥンス・スコトゥスはこうした成長途上の真理に特別の注意を払ってうち込み、見解を系統立てて述べる事ができました。けれどもそれは、真理についての知識がいっそう明確になり容認できて定義可能となるような、聖書学と権威ある教父学の堅固な論証に裏付けられていました。無原罪の御宿りと聖母被昇天については、数世紀にわたる研究と考察と観察を経てこの目標が達成されました。こうした真理は他の信仰の真理と完全に調和しており、直接そこから生まれたものです。

今回の列聖

教皇ベネディクト16世は2008年3月1日ヴァチカンで行なわれた教皇召集による枢機卿会議において、本年10月12日に4人の福者を列聖する事を発表しました。その内の二人はフランシスカン姉妹で、コロンビアの「罪びとの救いの聖母フランシスコ修道女会」創立者の福者マリア・ベルナルダ・ブトラー(1924)と、インド・クララ会の福者・無原罪の御宿りのアルフォンサ(1946)です。二人の列聖申請は、本会の列福列聖手続き担当総申請部に委ねられていました。

アマゾニアの福音宣教とミッションについてのセミナー

アマゾニアの福音宣教とミッションについてのセミナーが、2月11日から15日までブラジルのマナウス市で開かれました。セミナーはブラジル協議会とアマゾニア「聖ベネディクト」分管区、それに福音宣教総事務局の主催で、この地域にある本会の二つの協議会のための、一つの宣教者プロジェクトを検討し設立する事を目的としました。出席者は、世界の指導者たちが地球という惑星の生命にとって非常に重要なかなめの地と考えるこの地域の、現地から示された課題について考察しました。エコロジー的な均衡や飲料水の問題に加えて、様々の先住民族と地域の文化が今、断絶や貧困や、彼らを手段として利用し無視しあるいは排除しようとする経済・社会政策によって脅かされています。セミナーの出席者は将来激化が予想される紛争地域でもあるこのアマゾニアを、「忘れ去られた修道院」の一つとして境界の地と定義づけました。現実に大規模畜産業者の利欲が数千エーカーに及ぶ森林を消滅させ、数百もの先住民族村落を排除しています。先住民の権利を守るために多くの人命が犠牲にされており、2005年2月にはカトリック宣教師のドロシー・スタング氏が暗殺されました。セミナーの練り上げたミッション・プロジェクトは管区長に提出されます。

ブリュッセルの新しい宣教

ブリュッセル(ベルギー)のノートルダム・デ・ナシオン国際共同体は3月3日、OFM海外宣教総モデラトールの兄弟ヴィンチェンゾ・ブロカネッリの出席を得て、フランス語話者の新しい宣教師グループを3か月間の準備と宣教師同伴のために迎え入れました。今回のグループはインド、イタリア、ポーランド、コンゴ民主共和国出身の6人のカプチン会宣教者で、ガボン、ベニン、コンゴ-ブラッザヴィル、スイスでの宣教に派遣されます。この講座には以下の2人の小さき兄弟たちも参加します:シチリア(イタリア)出身の兄弟ロリス・ダレッサンドロはコンゴ-ブラッザヴィルの宣教地区に、そしてエル・サルバドル出身の兄弟カルロス・オマール・デュランはハイチでのミッションに派遣されます。新任宣教者に向けた準備講座の主な目的の一つは、フランシスカン合同の多文化の兄弟共同体を体験し、宣教のヴィジョンと霊性を得る機会を提供する事です。

兄弟ヴィンチェンゾ・ブロカネッリはブリュッセルでの養成活動が、よいフランシスカン宣教者を育成するためにフランシスカン家族の4つの修道会(OFM、OFMConv、OFMCap、TOR)の総長に望まれたものである事を述べました。宣教者は各自の修道会及び派遣地の具体的な固有の諸側面について、準備を仕上げる予定です。

JPIC国際評議会の会議-フィリピン

本会JPICの国際評議会会議が2008年2月18日から25日まで、フィリピンのセブで開かれました。評議会は13の協議会のJPIC責任者と活性化委員会、ローマ担当室で働く2人の兄弟、関連総理事で構成されています。

すでに2007年9月から2008年2月の間に諸大陸会議が開かれて、先の総集会後に遂行された仕事の評価と次期総集会に提示する優先課題の指摘という作業が行なわれており、今回の国際評議会でその報告が発表されました。会議では特にアジアの現実と主要な宗教、それらとJPICとの関係について強調点が置かれました。また養成事務局と福音宣教事務局との協働-特に後者に注目して-というテーマで一日が設けられました。別の一日には幾つかのワークショップが以下のテーマに取り組みました:「社会分析と時のしるしの読み解き」、「貧しい人々の視点から聖書を読む」、「社会運動との協働」。会議の参加者は貧しい地域や、人権と尊厳ある生活を求める闘いの場を訪ねる事で、フィリピンの人々の現実と兄弟の司牧の仕事の状況をより深く理解する事ができました。最後に評議会は2009年の総集会に向けて幾つかの提案を作成すると共に、本会におけるJPICの将来の仕事に向けた優先課題とそのための計画を定めました。

SFOとユー・フラへの霊的補佐のための養成講座-ボスニア・ヘルツェゴヴィナ

ボスニア・ヘルツェゴヴィナとクロアチアのSFOとユー・フラ(フランシスカン・ユース)への霊的補佐の第二期養成講座が、2008年2月19日から21日までボスニア・ヘルツェゴヴィナのヤイツェ・ローヤルシティで開かれました。約80人のSFO/ユー・フラへの霊的補佐が出席し、大変積極的に活発に講座に参加しました。

第二期養成講座の目的は、先頃クロアチア語で出版された「SFOとユー・フラに対する霊的補佐の手引」を紹介する事でした。これはSFOへの霊的補佐協議会がイタリア語で初版を刊行して以来、初めての他言語版です。

養成講座はポドミラチェにある有名な洗礼者聖ヨハネ教会での、共同司式による荘厳な聖体祭儀をもって終了しました。

聖パウロの足跡を辿って-トルコ

兄弟ルベン・ティエラブランカと養成と勉学総書記の兄弟マッシモ・フサレッリの指導の下で、プグリアとモリゼ管区からの16人の兄弟たちと3人の教区司祭のための「最新情報」講座が、2008年1月24日から2月5日までトルコで開かれました。その目的は教皇ベネディクト16世の布告したパウロ年の間に、「聖パウロの足跡を辿って・・・東方教会との出会い」という意義深い体験をする事でした。一同は異邦人の使徒の回心の祝日にその生誕地タルススを訪れたり、総主教バルトロメオ一世に会ったりする機会を得、またエキュメニカルな祈りの集まりや、兄弟テクル・ヴェトライと兄弟グウェノレ・ジュセットとの特別な会議を通して見聞を広める等喜びに包まれて、この期間を恵みの時としてすごしました。

SFOとユー・フラへの霊的補佐のための養成講座-チェコ共和国

チェコ共和国とスロヴァキアのSFOとユー・フラへの霊的補佐の養成講座が、2008年2月28日から3月1日までチェコのスワティ・ホスティン教会で開かれました。講座は総補佐協議会がチェコ共和国とスロヴァキアの補佐協議会と協働で主催し、テーマは総補佐により以下のように提示されました:「SFO公文書についての知識の重要さ」(兄弟アマンド・トルヒッリョ・カノTOR)、「SFOへの共働霊的補佐」(兄弟マルタン・ビツェルOFMConv)、「『SFOに対する霊的・司牧的補佐のための規則』の発表」(兄弟イヴァン・マティッチOFM)、「現地共同体における霊的補佐の役割」(兄弟サミ・イルダヤOFMCap)、「フランシスカン・ユースとその霊的補佐」(兄弟イヴァン・マティッチOFM)。

フランシスカン新刊書の栞

*パシフィコ・セッラ著(Viator,5)「東洋における福音-初代中国大陸司教の小さき兄弟モンテコルヴィーノのヨハネ」(原題Il Vangelo in Oriente Giovanni da Montecorvino, frate minore e primo Vescovo in terra di Cina)。ポルツィウンクラ出版、アシジ、2008年。全200頁(イタリア語)。

13世紀に教皇イノセント4世とフランス国王ルイ9世は、フランシスコ会士とドミニコ会士をたびたび元王朝のフビライ・ハン朝廷に派遣しました。それは本当に宣教するためというよりは、情報を収集し外交的接触を始めるための派遣使節でした。派遣された人々の中にはカラコルムに到着した兄弟ピアン・デル・カルピーノのヨハネ(1245-47)や、フランドル出身の兄弟ルブルクのグリエルモ(1253-55)、そして特に、他の兄弟たちの助けを得て1294年カンバリック(現在の北京付近)に到着した兄弟モンテコルヴィーノのヨハネがよく記憶されています。

モンテコルヴィーノは1328年に帰天するまで中国にとどまりました。教皇クレメンス5世は1307年に彼を北京大司教と東洋総大司教に任命しています。昨年帰天した愛国教会所属の北京の司教モンシニョール・ミカエル・フ・ティエシャンは、この称号を誇りとしました。モンテコルヴィーノのミッションは大成功ではありませんでしたが、個々に分散した形で一定の成功を収めました。上長への報告の中で、彼は「6,000の洗礼を授け、150人の子供たちを学校で養成した」と記しています。

clip_image008[4]*ジュリー・ハンナ著・姉妹キアラ・アマータ挿絵「小さきフランシスコ(子供のための5つのパズル)」。フランシスカン・ミッションズ、ウォーターフォード(USA)、2007年。心は健全さを保つために、身体と同様に訓練を必要とします。パズルをするのはよい訓練で、「小さきフランシスコ」は啓発的な思想で心を満たしておく事を目的としています。この小さな本のパズルには、一つ一つに有益なメッセージがあります。パズルを完成させて、心を成長させましょう。フランシスカン国際図書館ウェブサイトをご覧下さい:http://www.libreriafrancescana.it/

お知らせ-世界のあちこちから

*福者ヴァラノのカミラ・バッティスタの記念祭:クララ会姉妹の福者ヴァラノのカミラ・バッティスタの生誕550年(1458-2008)記念祭が、2008年3月16日イタリアのカメリノで始まりました。祝いは2009年6月2日まで行なわれ、その間PUAの中世及びフランシスカン研究上級研究所との協働で様々の文化的行事が催されます。中でも特に強調点が置かれるのは、オブセルヴァンテスの女性フランシスカンを取り上げた第4回「研究の日」で、「福者カミラ・バッティスタ・ヴァラノとカメリノの聖クララ修道院」と題されています。この記念祭に関連して、A・ガッティッチ監修2007年シスメル出版(フィレンツェ)の「福者ヴァラノのバッティスタ-福者モグリアノのピエトロの幸いな帰天」が出版されています。詳細はカメリノの聖クララ修道院下記サイトをご覧下さい:clarissecamerino@tiscali.it

*ヨゼフ・ラツィンガーの著書の研究会議:ヨゼフ・ラツィンガー著「聖ボナヴェントゥラ:歴史の神学」についての研究会議が、2008年2月26日火曜日に聖アントニオ大学で開かれました。以下は、バルバラ・ファスデ・モットーニ氏の述べた重要な結びの言葉からの引用です:「聖ボナヴェントゥラの歴史の神学に関するヨゼフ・ラツィンガーの著作は、[・・・]あるテクスト無しには生まれなかったでしょう。それはクアラッキの兄弟たちの作成した校訂版のおかげと言えます。クアラッキの兄弟たちは数十年にわたる準備と全ヨーロッパの図書館にある古写本の調査研究の後、1880年から1902年まで20年かけてボナヴェントゥラの著作全集を製作し、出版しました。[・・・]。私たちはここで、今となっては誰もその名に言及しない、けれども神学の研究と発展に量りしれない奉仕を捧げた1800年代のフランシスカンたちに感謝し、彼らに思いを致さなければなりません:兄弟ファンナのフェデレは、苦しい仕事と骨折りのために衰弱し、生涯の夢であった著作全集の第一巻さえ印刷の実現を見る事なく、1881年に44歳で帰天しました。生涯の最期の日々には自分を共同研究者たちが働いている大きな研究室に移してもらい、『やっとの事で病床から書き物机に行っては、心に浮かんだ事柄で協力者たちに伝える価値のある事を書き記す彼の姿がたびたび見られた』との事です。彼の仕事を引き継いだ兄弟イグナス・ヘイラーと、1800年代後半のフランシスカン研究の偉大な保護者であった本会副総長の兄弟ポルトグルアロのベルナルディノのおかげで、私たちは校訂版プロジェクトと、今日私たちを迎え入れてくれたこの聖アントニオ大学の建物という恩恵を受けています」。

clip_image010*DVD「祈りに声を合わせて」:DVD「祈りに声を合わせて」は、ナイロビ(ケニア)の貧しい人々へのフランシスカン家族の献身を紹介しています。ナイロビの兄弟たちは貧しい地域に住んでハンセン病患者やエイズ患者を訪ね、ストリート・チルドレンに食べ物と避難所を提供し、社会の隅に追いやられた若者たちに付き添い、他の宗教のメンバーと集まりを分かち合っています。ナイロビ市の50を越えるフランシスカン共同体の携わる社会的、霊的な慈善活動は、長いリストになります。けれども聖フランシスコの精神をもって兄弟姉妹たちの実行する仕事の大部分は、表てに現れず隠れたままです。DVDは、フランシスカン・センターのポルツィウンクラ・オフィスで入手できます(英語可):ffakenya@gmail.com

*クアラッキの兄弟編集者が割引価格を用意:クアラッキの兄弟編集者は、2008年9月30日までカタログにある全書籍を表示価格から50%割引きます。詳細は下記まで:quaracchi@ofm.org & ウェブサイト: http://www.fratiquaracchi.it/

*アゴスティノ・ジェメッリが100年前に司祭叙階:ロンバルディア管区の小さき兄弟たちとカトリック聖心大学の発起による「研究の日」が2008年3月14日、同学創立者の小さき兄弟アゴスティノ・ジェメッリ(1878-1959)の司祭叙階100年を記念して、ミラノの聖アントニオ聖堂で開かれました。兄弟アゴスティノは他に3つの在世研究所と出版修道院「Vita e Pensiero」、それに人々の典礼養成のための協会「Opera della Regalita di Nostro Segnore Gesu Cristo」を創設し、文化と教会の分野での多元的なイニシアティブの発案・推進者でもありました。その故に本会と教会の20世紀の歴史上傑出した人物となっています。

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