2009年1月号

兄弟の皆様、2009年総集会に向けて

総長はすでに総集会向け報告書の最終稿作成を終えており、同稿はこれ0109eng_img_3から翻訳作業を経て2009年総集会メンバー及び本会会員に送付されます。総理事会によって決定されたとおり、総長報告書は総集会の「準備文書」となります。全ての議員は総集会でその内容を議論する事ができるよう に、来月からこの報告書を読んで検討するよう求められます。報告書は以下の5つの部分に分かれています:

1. この総集会のために選ばれたテーマ「小さき兄弟としての私たちの福音宣教ミッション」の提示。
2. 総長と総理事会に託された2003年総集会の提議と要求が、どのように実行されてきたか。
3. 総長と総理事会が共にこれまでの6年任期中、どのように本会の活性化と指導の任務に勤しみ実現してきたか。
4. 特に私たちの召命の宣教と福音化の次元を念頭に置きつつ、6年任期の優先課題に照らして、現在の本会の実状はどのようか。
5. 将来に向けた提案。

報告書は翻訳され次第、本会が踏み固め歩んできた道について、普遍的であると同時に局地的な一つの地平で聖福音を宣べ知らせるため召し出された兄弟共同体の次元に鑑みた、内省の機会をもたらすでしょう。報告書が共同体によって読み込まれ、研究される事は特に重要です。なぜならそれは一つひとつの兄弟共同体が積極的に総集会の準備に参加するための、一つの道だからです。

貧困と闘い、平和を築く

私の敬愛すべき前任者である教皇ヨハネ・パウロ二世が述べたように、グローバル化は「極めて両義的」であり、深い賢慮を伴う取り組みを必要とします。この取り組みは、世界の貧しい人の必要を最優先し、貧困の問題と貧困解決のために用いられる手段の不均衡という恥ずべき状態を克服することを含みます。こうした不均衡は文化と政治のレベルにも、霊的・道徳的レベルにも見られるものです。実際、私たちは、貪欲や吝嗇のような、人間の心に巣食う悪徳に目を向けずに、貧困の表面上の技術的な原因だけを考察することがしばしばあります。時として、開発、援助、国際協力の問題を、人間的な要素に少しも本当の意味で目を向けずに、単なる技術的な問題として考えることもあります。つまり、既存の制度に問題を限定し、貿易協定を結び、非人格的に資金を割り当てるのです。
貧困との闘いが真に必要としているのは、深い兄弟愛をもって生き、個人、家族、共同体と共に本当の意味での人間らしい発展の道をともに歩むことのできる人なのです。(2009年1月1日「世界平和の日」教皇ベネディクト16世のメッセージより)。

ヨーロッパのフランシスカンの新たな旅路

2006年アシジで開かれた「福音宣教と新しい共同体の新たな形」についてのセミナーでは、多くの示唆と最終提議が出され、その中で参加者の大多数が同様のセミナーを繰り返し開催する事に賛成しました。
福音宣教と派遣されて宣教する使命を帯びた兄弟共同体の新たな形に関する第二回の集まりは、2009年1月7日から10日までローマのフラスカティで開かれます。それは分かちあいと評価、掘り下げた分析、コミュニケーション・ネットワークの構築に加えて、ヨーロッパで新しい形の福音宣教に携わる共同体との協働も顕著な会合となるでしょう。さらにこの集まりは、2009年総集会の準備プロセスへの参加の表現でもあります。
体験の分かちあいは以下の三つの問いに基づいて行なわれます:a)それはどのように生まれましたか b)あなたのミッションの聴衆は誰ですか c)どのように福音宣教しますか(形、言語、内容、方法、手段と道筋・・・)。各共同体は自身の体験を準備委員会に送ります。委員会はそこから概要を作成します。概要はセミナーで発表され、テーマについて専門家の助力を得ながら深く掘り下げます。その際には、分かちあいの内容を出発点とし基準点とする事が常に留意されます。個々の側面の分かちあいと体験の評価には、十分な時間が取られます。詳細は下記サイトをご覧下さい: http://www.ofm.org

韓国の諸宗教間対話

本会の対話の奉仕委員会は2008年11月24日から29日まで、韓国のソウルにあるフランシスカン司牧センターでその第二回年次会に協力して加わりました。
最初の数日は養成に専念し、様々の発表が次々に行なわれました。一例として、対話の司教協議会代表のテジョン司教や、対話の奉仕委員長の兄弟M・ヴァレシッリョ、兄弟テクル・ヴェトラリ、プロテスタント界からの二人の講演者、一人のシャーマニズム代表、二人の仏教僧の発表が挙げられます。年次会にはおよそ400人の出席者があり、その大多数はフランシスカン家族のメンバーと他の修道会の代表でした。
11月27日と28日の両日は仏教徒の修道生活に直接触れる事に当てられ、トンドサの大きな総合施設や、韓国の黙想禅の最良校であるブルグクサの複合施設を始め、様々の男子僧院や女子僧院を見学しました。参加者は知識の習得と共感の両面で深い体験をする事ができました。フランシスカンは仏教界の兄弟たちと「共感と協働の架け橋」を作る事が可能だと体験する機会を得たと言えるでしょう。

国際幕屋の集会

第一会とTORの総長は、1209年の原始会則認可と共に生まれた小さき兄弟会の創立800周年を祝うため、国際幕屋の集会を主催しています。集会は2009年4月15日から18日までアシジで開かれ、18日は教皇に迎えられてその手の中に私たちの誓願を新たにするため、ローマで行なわれる予定です。集会に参加するのはOFM、OFMConv.、OFMCap.、TORの兄弟たちと、全てのフランシスカン家族のメンバーです。詳細は下記サイトをご覧下さい:
www.capitolostuoie2009.org/

JPICの2009年度新講座

ローマのJPIC(正義と平和と被造物の統合)担当室は、PUA(教皇庁立聖アントニオ大学)と共に同大学で2009年4月20日から30日まで新しい講座を開きます。第一週は午前中実際的な問題に取り組み、午後はJPICの仕事の神学的・フランシスカン的な基礎について考察します。第二週の4日間は環境問題のより深い研究に専念します。環境に対する私たちの関心の聖書的・神学的・フランシスカン的な基礎について考え、気候変動やエネルギー、水、食料、バイオ燃料のような現下の環境問題をより綿密に調べると共に、こうした問題にどのように対応するかについて実践的な考察に取り組みます。詳細は兄弟ヴィセンテ・フェリペ下記アドレスにご連絡下さい:vfelipe@ofm.org
第12回養成と勉学国際評議会-スペイン
第12回養成と勉学国際評議会が2008年11月24日から12月3日まで、スペインのムルシアで開かれました。今回はカルタヘナのフランシスカン管区と、PUAの共同研究機関であるムルシア神学研究所が共催しました。会議のために招待された14の協議会の代表とOFM研究センターの諸所長の検討したテーマは、勉学と初期養成の統合でした。代表の報告に準拠しつつ専門家の話を聴いた後で、出席者は若い世代に知識を伝える上で現代社会の抱える困難さについて、また祈りと勉学と、フランシスカン生活のための行動との間の新たな統合の必要性について話し合いました。

フランシスカン新刊の栞

1)福者ヴァラノのバッティスタ著(A.ガテュッチ編)「福者モグリアノのペトロの幸いな帰天」(原題Il felice transito del beato Pietro da Mogliano)。フィレンツェ、2007年。全170頁。本書は福者ヴァラノのカミラ・バッティスタの生誕550年記念にあたって、2008年12月5日ローマで発表されました。私たちがここに見るのは冊子の原文校訂版です。本書はモグリアノのペトロの人生の最後の日々について、福者ヴァラノのバッティスタがウブリノ公妃エリザベータ・ゴンツァガに書き送ったものであるため、その大部分は自伝です。冊子は15世紀後半から16世紀初頭10年頃の複雑な貴婦人の世界を明かすと共に、シエナの聖ベルナルディノのオラトリオ賛歌を背景にしたフランシスカニズムの爆発的広がりをも浮き彫りにしています。

2)フィリポ・セッダ著「Veritatem Sapientis Animus Non Recusat(知恵の人は真理を受け入れるのを拒まない)-貧しさについてヨハネ22世に対する小さき兄弟の書。研究並びに原文校訂版」(原題VERITATEM SAPIENTIS ANIMUS NON RECUSAT Testo fraticellesco sulla povertà contro Giovanni XXII. Studio ed edizione critica)(Medioevo, 17)。聖アントニオ大学出版、ローマ、0109eng_img_192008年。全339頁。教皇ヨハネ22世(1316-1334)の決定をめぐる敵対的な雰囲気は、厳格派のフランシ スカンが1318年マルセイユで火刑に処せられた事で頂点に達し、神学的・学究的な論争が起こりました。「意見を持つ小さき兄弟たち」または「ミカエル党」(指導者チェゼナのミカエルの名に依る)として知られる反体制派のフランシスカンのグループは、「キリストと使徒たちが一切何も所有せず、絶対的な貧しさに生きた」事を支持し主張しました。ミカエルとその仲間のベルガモのボナグラツィア、グリエルモ・オッカム、アスコリのフランチェスコはミュンヘンのバイエルン皇帝ルドヴィコ皇帝の下に難を逃れ、教皇に対して神学論争と異端の告発、教会法違反の告発の組織的作業を始めました。賛否両論に議論を招く数多くの文献の中で、まだ現代版では出版されていませんが、本書「Veritatem Sapientis」はこの議論を十分に表しており、遠く広く反体制派のフランシスカンたちの間に普及していきました。厳格に中世の釈義と教会法とに立脚したその論戦の力は、まさに反体制派の「必携本(vademecum)」そのもので、教皇の現世的権力及びもはや聖フランシスコの清貧の価値を遵守する事のできない教会の富に対して論争を行なうために、議論と論拠を提供しました。本書の重要性は、2008年国際フランシスカン研究会議において、名誉ある「ポール・サバティエ賞」が著者フィリポ・セッダ(聖アントニオ大学の中世及びフランシスカン研究高等研究所所属)に授与された事によって新たに追認されました。

お知らせ-世界のあちこちから

インドに新しい二つの共同体
インドの使徒聖トマス管区の「霊的集会」が、2008年11月29日から12月2日までパルマネ(アンドラプラデシュ州)で開かれました。集会は総長代理の兄弟マシアス・ドイルが議長役を務め、新しく二つの共同体が設立されました。一つはインド北部の「神の御母聖マリア」従属分管区で、もう一つは北東部の「アシジの聖フランシスコ」宣教地区です。総長によって兄弟レオ・エッカが分管区長に、兄弟フィデリス・ディマ、兄弟スシル・ベック、兄弟フランシスコ・ロザリオ、兄弟タデオ・バクスラが評議員に、それぞれ任命されています。また宣教地区については、兄弟バブ・ホセ・パンプラニが代表に、兄弟スーサイ・ラジと兄弟ステファノ・バルラが評議員に、それぞれ任命されています。

朝鮮半島に和解の雰囲気

総長の兄弟ホセ・ロドリゲス・カルバッリョは2009年1月、北朝鮮の平壌に新しい「平和の奉仕センター」を開く事を言明しました。韓国フランシスカン管区の兄弟パウロ・キム・ウォンスーンが現地で協働します。センターはランチを出して、家族を支える手立てのない1500人の労働者の食物のニーズに応えます。さらに兄弟パウロは主に外来患者用クリニックの監督運営に専念して、最も弱く傷つきやすい人々に無償の支援をします。疑う余地なく、それは北の兄弟姉妹に向けた韓国教会の連帯のふるまいです。また北朝鮮当局側が心を開く、よいしるしでもあります。なおその上に、それは典型的なフランシスカン・ミッションでもあります。なぜならそこには、貧しい人々への奉仕、平和を告げる事、すぐそばに温かく兄弟的で友好的な隣人として存在する事など、私たちのカリスマの特色を示す多くの要素が包含されているからです。これはほんの小さなしるしのように見えるかもしれません。それでもなお、時がたつに従ってこのようなミッションがもっと重要になり、他の兄弟が兄弟パウロと一緒にこのイニシアティブを引き受ける事ができるようになるだろうという希望があります。その時こそ、このミッションは真のフランシスカンの意味合いを持つでしょう。このプロジェクトを祈りと共に支援しましょう。そして「主が、真摯な心で平和と和解と一致を願う南北朝鮮の人々の祈りに耳を傾けて下さいますように」というこの意向に、皆様が加わって下さるようお願いします。

ローマのコレジオ・サン・イシドロに新しい共同体

総長の兄弟ホセ・ロドリゲス・カルバッリョは2008年12月8日晩祷の後、ローマのコレジオ・サン・イシドロの改修部分を祝別し、新しい聖イシドロ共同体が正式に登場しました。実際に、グロッタフェラータの兄弟たち-有名なクアラッキの編集者またはコレジオ・サン・ボナヴェントゥラの兄弟たち-が、ローマの中心にあるこの新しい研究センターに図書館と共に移ってきています。センターには研究と探究のための快適な空間も用意されています。

主に向かう小さき兄弟として世界のただ中にある宣教者

私たちは「ミッション」という言葉で何を意味するでしょうか。ミッションの多くの概念の中で、私はドン・ヘルダー・カマラの示す意味を選びたいと思います。なぜならそれはミッションの幾つかの側面を要約しているようにみえるからです。ドン・ヘルダー・カマラはこう言います:「ミッションは出かける事、歩く事、すべてを捨てる事、自分自身から抜け出す事、私たちを『私』の中に閉じ込めるエゴイズムの堅い外皮を打ち破る事、自分が世界と人生の中心にいるかのように自分中心に物事を展開するのをやめる事、自分の属する小さな世界の問題に自身を閉じ込めない事、なぜなら人間である事はもっと偉大なのですから!ミッションはいつも出かける事です。けれども距離を急ぐためではありません。それは何よりも、兄弟として他者に向かって心を開き、彼らを見いだし出会う事です。そしてもし出会って愛するために海原を越え空を飛ぶ事が必要なら、ミッションは、地の果てまでも出かけていくのです」。
OFM総長