2009年3月号

2009年総集会に向けて

総長報告書に加えて、議員の兄弟たちは諸協議会議長の報告書についても学んでおく事が求められます。協議会議長報告書には総集会に向けて本会の様々の共同体の行なった内省が集められており、その概要は以下のとおりです:

clip_image002私たちのカリスマの福音宣教の次元は、様々な地理的・文化的環境において様々な方法で実現されています。伝統的な司牧の形による福音宣教が、多くの地域で今も広く行なわれていますが、それにもかかわらず「新しい」共同体を作り出す有意義な努力には事欠きません。それは、例えば貧困の場への積極的な関わりや巡業の旅への献身を通して、あるいは新しいアレオパゴス(宣教の場)の試みを通して、「新しい福音宣教」の最前線となる事によって善き知らせを生きる共同体です。宣教の面で今も大変高く評価されるのは「諸国の民へ」の「諸国の民の中で」のミッションであり、管区合同の協働と本会の宣教プロジェクトへの参加の重要性が強調されています。キリスト教徒が少数である地理的文化的環境におけるフランシスカンの存在については、様々な宗教の信者のただ中で兄弟的な対話を推し進める共同体の有意義な体験が際立っています。

2003年総集会の評価に関しては、共同体の生活に対するその最大の貢献は、一つのテーマとしての、そしてミッションと福音化と福音告知の地平としての兄弟共同体を持つという、兄弟生活のプロジェクト作成のイニシアティブでした。

2006年臨時総集会に関しては、最も高く評価されたのは「エンマウスの方法」の提案でした。それは現在の状況の確かな読み解きと福音書に照らして行なわれるべき選択とをたやすくするために、多くの共同体の会議や黙想会にも採用されました。なお全般的に本会の公文書については、多過ぎるため地域レベルで学び、吸収し、分かち合うのには多くの時間が必要とされるという点で若干の抵抗がみられます。

副総長の証し

次期総集会を間近に控え、世界中のすべての兄弟共同体にとって非常に重要なこのイベントに対する期待と共に、副総長としての私の務めも大きく広がって参りました。過去6年間私たちの歩んできた旅路を評価し、とりわけ将来に向けた計画を立てるための意義ある時として、私はこのイベントを楽しみに待っています。その後で皆一緒に、次期6年間の指導と運営の任務に助力する人々を選出しなければなりません。副総長としての務めが終りに近づいた今、私は主と兄弟の皆様に感謝したいと思います。

clip_image004私に与えられたこの奉仕の機会は、現実の生涯養成と大きな一つの共同体を体験する好機となりました。兄弟たちの生きる多様な現実を知る事は、真の巡礼でした。私は出会った兄弟たちの生活を、主にたたえます。そして私のビジョンと、現代のフランシスカン召命の理解のし方、読み解き方、生き方、自分の知り得た多様性豊かな方法によって実践したすべての事柄を、主にお返しします。「この6年間は自己譲渡と感謝、そして兄弟たちとの分かち合いのための、又とない素晴らしい機会だった」と、心から言う事ができます。

総本部での私の奉仕は2003年総理事として始まり、2004年11月兄弟アントニオ・フラニチの帰天に伴って、副総長及び総長代理に選出されました。細心の注意を要する代理の務めは、それに携わる者を困難なあるいは危機的な日々を生きる人々へのいっそうの奉仕へと向かわせます。その中で、私は様々の理由で本会を去っていった兄弟たちの脆さに深く触れました。それは私の仕事の中で最も慎重な注意を要する、最も困難なものでした。なぜなら兄弟たちの脆さに取り組む事はとりも直さず自分自身の脆さと正面切って向かい合う事であり、本会を去っていく人に手を差し伸べるために、できる事を何でもすべて実際に尽くしたかどうかという問いに向き合う事だからです。

総長並びに総理事の兄弟たちと共に働く事は、豊かで美しい体験でした。皆が非常に多様な現実と多様な文化の出身であるため、互いの特異性の尊重と、普遍の兄弟共同体の共益を共同で探求する事を通して、私たちの間には深い理解と真の兄弟愛が生まれたと言えます。私にとって総本部全体の共同体は、日々の互いに具体的な関わり合いの中で、多様性の豊かさと美しさを体験する場となりました。

新しいフランシスカン司教-ヴァチカン

clip_image006教皇ベネディクト16世は2009年1月28日、ブラジル無原罪の聖母管区の兄弟ヨハネス・ベルンハルト・バールマンを、ブラジルのオビドス高位区司教に任命しました。兄弟ヨハネス・ベルンハルトは1960年12月10日ドイツのヴィスベックに生まれ、1991年小さき兄弟会で荘厳誓願宣立、1997年司祭に叙階しました。

また教皇は2009年2月14日、洗礼者聖ヨハネ自治分管区の兄弟フランシス・ショウ・セバスチャンOFMを、パキスタンのラホレ大司教区(表面積23,069㎢、人口26,510,000人、カトリック教徒385,000人、司祭82人、修道者291人)の補佐司教に任命しました。兄弟セバスチャンは1957年11月14日に生まれ、1989年小さき兄弟会で荘厳誓願宣立、1991年司祭に叙階しました。1996年のFCAOで来日したことがあります。

アジアの養成担当者講座―バンガロール(インド)

アジアの二つの協議会の全共同体から35人のOFM養成担当者が集まって、1月17日から31日までインドのバンガロールの「クラレト・ネヴァス」センターで養成担当者講座が開かれました。講座は養成と勉学総事務局が主催し、兄弟マッシモ・フラレッリとSAAOCが代表となりました。インドの使徒聖トマス管区のもてなしは兄弟な心にあふれたもので、参加者は当地の豊かさの一端を見出す事ができました。講座の主なテーマは「アジアの多元性に照らした個別的な同伴」でした。プログラムには祈りの時と兄弟的な生活、ヨガの紹介、黙想、現地の実状の見学、他宗教の代表者との会合、そして講座の具体的な諸テーマに取り組む作業が盛り込まれました。それらのテーマの中では、フランシスカン的・聖書学的人間論、情緒的・性的な成熟、傾聴と養成の対話、フランシスカン的次元、養成共同体、識別の基準について、特に詳しい展開が行なわれました。テーマの豊かさと参加者全員の関わりを通して、養成担当者は多くの体験を交換し合うと共に、アジア圏に特定した養成担当者の養成を継続する事の重要さを確認する事ができました。

フランシスカン新刊の栞

clip_image008*兄弟L・ペルギーニ監修「小さき兄弟会便覧:公文書2003-2007」(原題Enchiridion dell’Ordine dei Frati Minori. Documenti, 2003-2007)第3巻。L.I.E.F.出版、ヴィチェンツァ、2009年。全1615頁。2003年から2007年までの本会公文書及び本会に関する公文書合わせて111点を収めたOFM便覧の第3巻が、現在刊行されています。この巻は本会創立800周年にあたる2009年の初頭に出版されました。そして第1巻、第2巻と同様、800年前にアシジで起こった事を実現するために第二ヴァチカン公会議の結論以降本会の歩んできた旅路を、誰でもたやすく辿れるように編まれています。全3巻の便覧は総頁数合わせて3968ページ、およそこの40年間の本会の近年史を記録しており、公文書総数は287点、その内60点が教導職のもの、14点がフランシスカン四総長から、さらにもう14点がフランシスカン家族諸協議会からのものとなっています。それ故この便覧は「歴史の体験によってふるいにかけられた霊性の宝庫であると共に、フランシスカン原泉資料と修道生活刷新に関する現代的考察を豊富に備え、アシジの聖人に霊感を受けた人みなにとって力強い対話者となっています」(コンスタンツォ・カルニョーニOFMCap)。

*兄弟M・カルバホ・ヌネス著「アシジのフランシスコとグローバルな倫理」(原題 Francisco de Asís y la ética global)。マドリッド、2008年。全160頁。本書は「こんにちのアシジのフランシスコ」全集の第4巻で、現代社会の挑戦に応える倫理を提議するフランシスカン・カリスマの現実性を伝えようとするものです。グローバル化された世界は遠距離コミュニケーションや人間相互間の出会いのための様々な手段を提供しますが、それらはすべて個人主義と差別を生み出します。そして偏狭な心や文化的植民地主義の危険は、しばしば抑制不可能な防衛反応を引き起こします。それでは、私たちはどうしたら人を排除せずにもっと兄弟愛と連帯に満ちた世界を得る事ができるでしょうか。どうしたら、この世界を未来の世代にももっと住みやすく、友好的で居心地よい処にする事ができるでしょうか。アシジの聖フランシスコとフランシスカン思想はインスピレーションを与えると共に、被造物を敬い護る和解した人間の預言的しるしとなる事ができるでしょう。それ故に本書の各ページはグローバル化の挑戦に対する最適の倫理的応答として、温かく迎え入れるもてなしの心を提案しています。対話する存在である事と、神と他者と自然とに開かれた心でいる事もまた、様々の文明と宗教と文化の中で、希望の未来と平和で敬意ある豊かな共存とを築くための、確かな礎と言えましょう。下記サイトをご参照下さい:http://www.ppc-editorial.com/ver libro.aspx?id=17400

*兄弟エウラリオ・ゴメス著「詩的意味を持つ被造物」(原題Creación con sentido poético/Creation with a Poetic Meaning)。2008年。全304頁。

clip_image010本書は昨年11月メキシコのサンチァゴ・デ・ケレタロ市において、二言語書籍としてスペイン語と英語で出版されました。メキシコのミチョアカンの聖ペテロ聖パウロ管区長を務める著者の兄弟エウラリオ・ゴメスOFMの詩と、ケレタロの画家であるホアン・エドアルド・ムニョス・バルデラス氏の芸術的な画像を通して、私たちは著者の人柄に近づく事ができます。ホアン・ムニョスの絵と一つになって、兄弟エウラリオ・ゴメスの詩は成長し静謐を得ます。そして一致を求め、人類の共通の家である被造物の細部に喜びます。このようにして絵と詩は共に、ケレタロの形と色彩を忠実に伝える全権大使となっています。