2011年7月号

「聖フランシスコ癌征圧センター」設立へ-リトアニア

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リトアニアのフランシスカンの兄弟たちは癌患者とその家族の生活の質の改善のために、バルト海沿岸クライペダ市の「聖フランシスコ癌征圧センター」設立のプロジェクトで活発に協働しています。すべてはおよそ10年前、一人の教区民の女性が癌の手術を受けた際に、手術自体は成功したにもかかわらず様々の困難を体験しなければならなかった事から始まりました。彼女は癌患者たちを互いに支え合うために一致させようと決意しました。フランシスカンの兄弟たちはクレティンガ修道院の一室を、この人々の月例会のために自由に使えるようにはからいました。集まりが大変多人数になったばかりでなく好ましい効果をもたらしているのを見た兄弟ベネディクタスと兄弟アルドナ・ケルピテは、クライペダにセンターを設立する事を考えました。そしてこの趣旨で市内に好立地の拠点を見つけました。それは評価の高い腫瘍科で知られる病院にほど近い、2ヘクタールを越える土地でした。

clip_image004 フランシスカンたちは早速ボランティアの養成や、センターと教会と修道院の複合施設の設計にとりかかりました。センター建設の作業は2011年5月に始まり、2012年8月に完了する予定です。費用についてはクライペダ市とヨーロッパ連合、英国リトアニア協会の慈善事業部門「ティルタス・トラスト」、英国の癌征圧支援の慈善団体「マクミラン・キャンサー・サポート」、それに癌征圧をスローガンとするチャリティジョギング大会「ラン・フォー・ホープ」や慈善コンサートなど様々の資金集めのイニシアティブによる財政支援を受けます。そしてなお、ボランティア養成を始めとして、専門知識と技術を持つ職員のために、また患者とその家族に対する様々のレベルでの適切な補助を保証するために、さらにはセンターとその活動を全国レベルで広げるために、夢とプロジェクトを分かち合う人々の支援が必要とされています。詳細は下記サイトでご覧になれます:http://www.viltiesbegimas.lt/ 支援方法については聖フランシスコ癌征圧センターにご連絡下さい:St. Francis Center for the Fight Against Cancer. Tel. +867 135 417; e-mail: kerpyte@kretvb.lt or sjurcys@gmail.com

ヨーロピアン・プロジェクト

先の総集会で指示された「ヨーロピアン・プロジェクト」(指令26,27)が具体的な形を取り始めています。ヨーロッパ協議会連合(UFME)議長の兄弟ヴィトール・メリシアスとトリノ管区長で評議員の兄弟ガブリエル・トリヴェリンは2011年6月4日、ヨーロッパの4人の総理事とローマで会い、来る2011年10月17日から22日までリスボンで開催されるUFME総会でヨーロッパの管区長たちに提示する公文書を明確にしました。テクストは幾つかの目標を提議しており、それには2010年2月ブリュッセルでの前総会で示された具体的なコミットメントや、ヨーロッパにおけるフランシスカニズムの新たな道に向けた提案が含まれます。

この最初の公文書は、すでに大陸に現れている以下のような事柄から生まれました:新しい福音宣教のための新しい形の存在、サンチアゴ・デ・コンポステラの道をゆく巡礼者の受け入れ、発展を促し兄弟たちの間に「ヨーロッパの良心」を推し進める事を目的として2年おきに開かれる「フランシスカン・ヨーロッパ会議」、信徒をも含めたブリュッセルでの宣教者養成、移民者に対するより効果的な司牧の奉仕職、ヨーロッパの諸修道会におけるフランシスカンの存在、ヨーロッパにおける私たちのカリスマの存在の徹底的な見直し。

公文書は「建設途上のプロジェクト」として意図されており、最終的な形に完結された固定的なものではありません。それは常に「最新化」されて、UFMEの未来への道の「案内人」役を務める事が可能です。

総長がカスティーリャ管区訪問-スペイン

clip_image006 総長は2011年5月30日から31日までスペインのカスティーリャ聖大グレゴリウス管区を訪問しました。訪問には総理事の兄弟ヴィセンテ・フィリペと管区のメンバーが同行しました。第一日目の朝、一行はマドリッド近郊の都市アルコルコン「洗礼者聖ペトロ」教区教会で管区の大多数の兄弟たちと会いました。その機会に総長は私たちの生活の本質的な諸次元すなわち観想的生活、兄弟的である事、小さきものである事、そしてミッションについて、兄弟たちに語りました。その日の午前は聖体祭儀をもって終了し、その中で修道生活の金祝と銀祝を迎える7人の兄弟たちのお祝いがありました。

午後に総長はマドリッドの管区本部で7人の「アンダー・テン」の兄弟たちと会い、活発な対話が進められました。集まりは晩祷をもって終わりました。

翌5月31日朝、総長はマドリッドのクララ会修道院で、カスティーリャのクララ会連合の姉妹たちとTORのメンバーとに会いました。集まりは聖体祭儀をもって締め括られ、そこでクララ会連合の100周年記念祭が公式に開始されました。午後には管区修道院でもある同市の「黙想の聖アントニオ」教会で、マドリッド地区とカスティーリャ地区のSFO兄弟姉妹たちと総長の会合がありました。

フランシスカン歴史文書館評論誌の総目録

「フランシスカン歴史文書館評論誌。目録第51-第100巻(1958-2007)」〔原題Archivum Franciscanum Historicum. Indices tomorum 51-100 (1958-2007)〕。クアラッキの兄弟出版、ローマ、2011年。全890頁。

4年を越える大仕事を経て、クアラッキの兄弟出版はフランシスカン歴史文書館の刊行する同館名の評論誌「Archivum Franciscanum Historicum」(AFH)の、1958年から2007年までの総目録を発表できた事に喜びを表明しています。それは同誌の創刊100周年(1908-2008)記念へのさらなる貢献となっています。本書は「AFH」に収められた豊かな歴史情報を活用するための、必要不可欠な道具です。印刷版に続いてCD-Romによる目録の活用も考えられています。本書に収められている目録は以下のとおりです:
・1958年から2007年の間に出版された「AFH」誌50巻分のリスト
・論評された作品の全リスト。
・著者とその著作の索引。
・諸著作の主要テーマに関する分析的索引。
・人物索引。
要事項の索引。

この総目録の共同著者は以下のとおりです:兄弟ペドロ・ジル・ムフロス、兄弟ベネディクト・メルテンス、兄弟パチフィコ・セッラ(文書館長)、ルカ・ダルヴィット博士。今回の仕事の不完全である事を自覚しつつ、出版者はフランシスカン・ムーブメントの歴史的・文化的・修道的な遺産のさらなる探究に向けた重要な刺激として、本書を評価しています。本書についての連絡先は以下のとおりです:E-mail: quaracchi@ofm.org; Internet: http://www.fratiquaracchi.it

観想についての委員会

clip_image008 観想についての委員会が2011年5月31日から6月2日までローマの総本部で開かれ、以下の兄弟たちが出席しました:兄弟フリオ・セザール・ブナデル(総理事で委員会議長)、兄弟ビエンヴェニド・バイサス(フィリピン)、兄弟エウジニオ・バレッリ(イタリア)、兄弟アンドレ・シリノ(米国)、兄弟ジャン・マリー・ムフェジ(コンゴ民主共和国)、兄弟チェルソ・テイクセイラ(ブラジル)、兄弟ミハエル・S・ヴォフク(スロヴェニア)。兄弟的な心と祈りの精神の内に、委員会は総理事会に提出して承認を受けるべき幾つかの議題を進展させ、深化しました。これらのテーマは次のとおりです:

a)聖クララ修道会(OSC)創立800周年記念祭の際に、小さき兄弟たちとクララ会姉妹たちが「一緒に食事をする」(小さき花15)ためのスペースを提案する。b)本会ウェブサイトで近い将来に最新化される予定の「祈りと観想」について、できればフランシスカンの資料を分かち合う。c)2009年総集会の指令9から現れてくる課題を達成するための様々の可能性を検討する。

無原罪の聖母修道会の会則認可500周年記念祭

無原罪の聖母修道会(OIC)連合と小さき兄弟会の第二回国際会議が2011年5月23日から29日まで、OICの会則認可500周年の機会にスペインのトレドの母修道院で開かれました。題は「神の息吹を受け、召し出され、浄配となる」でした。会議の終了後5月30日から6月3日まで、OIC会則認可500周年を祝う記念祭が行なわれました。

詳しくはOICベティカ連合http://www.beticaoic.org/または母修道院http://www.concepcionistastoledo.org/の各サイトでご覧になれます。

フランシスカン新刊の栞

clip_image010A・カッチオッティとM・メッリ監修「フランシスカンと金銭の使用。第8回グレッチオ歴史会議議事録(2010年5月7-8日、於グレッチオ)」(原題I Francescani e l’uso del denaro. Atti dell’VIII Convegno storico di Greccio, Greccio, 7-8 maggio 2010)。フランシスカン叢書出版、ミラノ、2011年。全190頁。

第8回グレッチオ会議はフランシスカンの起源からの歴史を再認識しつつ、福音の教えにおける世俗的財貨の適切な使用の問題について取り組みました。そこから生まれた内省は、西洋の歴史において全体の幸福を目標に拡大し続けてきた多くの政治・経済理論の核心にあって、それらの刺激となるものです。提出された報告の中で幾つかの難しい問題として、以下のような事柄が検討されています:個人的・集団的な決定における経済的条件付けの増大;不正と不平等を生み出さない市場を目的として、倫理的規則の必要性の高まり;屈辱的な貧困と未曾有の富のただ中での金銭の使用のあり方;利益の正当性と社会的再投資。

グローバルな発展の諸要素はますます複雑になり、社会的文化的・政治的な含意の解読が困難になっています。それは必然的に、経済行動の中心に据えられる「より人間的な」基準への注意を喚起せずにはおきません。

シームス・ムルホランド著「家路への翼に乗せて。アシジの聖フランシスコの生涯についての詩と黙想集」(原題As We Wing Him home. A Collection of Poems and Meditations on the Life of St. Francis of Assisi)。フランシスカン国際研究センター、カンタベリー、2011年。全144頁。

「兄弟シームスのこの繊細な美しい作品は、彼が詩の『狂気』を甘受した後、フランシスコ会に入会する前の数年間に書かれました。彼は最近私に次のように指摘しています。『プラトンは、詩とは人をとりこにする三つの熱狂の一つだと言いました!それなら私はその熱狂者です』。もしそうであるなら、彼はその師父聖フランシスコの心に従った熱狂者と言えるでしょう。聖人は二本の棒切れを想像上のバイオリンと弓にして弾きながら、神の賛美をフランス語で歌いました。そして死のときが近づいた時、あたかも白鳥が死を前に美しい歓喜の歌を歌うという伝説のように、吟遊詩人のし方で最後の歌-あの素晴らしい詩『太陽の歌』-を歌いました」(ムレイ・ボドによる「はしがき」より)。

アルフレード・マンヒサ著「黒人の非疎外化。没後50年フランツ・ファノンの思想における『新ヒューマニズム』」(原題La dis-alienazione dell'uomo nero. Il “nuovo umanesimo” nel pensiero di Frantz Fanon, 50 anni dopo)。アルバトロス、ローマ、2011年。全122頁。

本書は現代の地政学的な西洋中心部における暗黒大陸と黒人の歴史、人間学、政治、経済、哲学について、読者からの質問に答えると共に、新たに別の多くの問いかけを提起します。

お知らせ-世界のあちこちから

フランシスカニズム週間:小さき兄弟会シチリア管区は兄弟たちとフランシスカン家族全員を、2011年8月29日から9月3日までイタリアのパレルモ-バイダで行なわれる毎年恒例のフランシスカニズム週間に招いています。テーマは「1211-2011.時代を超えたアシジのクララのキリスト教的提案」で、講演者はマルコ・バルトーリ教授とジョヴァンナ・カサグランデ教授です。詳しくは兄弟サルバトーレ・フェッロに御連絡下さい:電話cell. 335 80 58 254; e-mail: salvoferro@libero.it

第34回フランシスカン研究週間:フランシスカン研究週間が2011年8月28日から9月2日まで開かれます。これはヴェロナ(イタリア)「聖ベルナルディノ管区合同神学研究会」の主催する毎年恒例のイベントで、フランシスカン資料集への歴史的、本文校訂的、霊的なアプローチを提案する事を目的としています。クララ会創立800周年記念祭に際して、私たちは「聖クララの生涯」(Legenda Sanctae Clarae Virginis)と「列聖調査記録」という、アシジの聖女についての最も古い二つのテクストを研究する事によって、アシジの聖クララの生活と選び取りを深く掘り下げたいと考えます。詳しくは以下のサイトをご覧下さい:www.sanbernardinoverona.it研究週間への参加登録及び問い合わせはEメールアドレス宛にお願い致します:segretario@teologiasanbernardino.it

スペインで「クララ・デー」開催: クララ会創立800周年記念を祝う「クララ・デー」が2011年9月1日から3日まで、スペインのカタルーニャ州バルセロナで開かれます。詳細は下記サイトに掲載中です:http://www.clarisascatalunya.cat/

フランシスコとクララについての研究デー(ドイツ):ドイツのブランデンブルク州ハイリゲングラーブのプロテスタント修道院で2011年10月20日から24日まで、「彼らは如何に祈ったか:アシジのクララとフランシスコ-ディートリッヒ・ボンヘッファー」と題する神学セミナーが開かれます。この研究デーの責任者はイル-ゼ・トド博士、エルネスト-アルベルト・シャルフェノルト博士、それにオランダ管区の兄弟ヘンク・ヤンセンOFMです。詳しくは下記サイトをご覧下さい:http://www.klosterstift-heiligengrabe.de/

プーリアとモリーゼの管区集会(イタリア):イタリアのプーリアとモリーゼ両州の小さき兄弟たちは2011年6月20日から22日まで、サン・ジョバンニ・ロトンドで管区共同体の年次集会を開きました。副総長の兄弟マイケル・ペリーと総理事のヴィンチェンゾ・ブロカネッリも出席して、なおいっそう共同体が「落ち着かない心で人生に意味を探し求める人々に霊と命であるみ言葉を差し出すため、福音に浸された」ものとなるよう力添えしました。参加者は特にクララ会創立800周年記念祭とクララ会姉妹たちについて、また私たちの福音宣教の巡業の旅のミッションにおける姉妹たちの役割について、さらには2012年の管区会議に向かう道筋について内省しました。

罪ある司祭、教会内の醜聞と聖フランシスコの希望:兄弟パット・マッククロスキーOFMSinful Priests, Scandal in the Church and the Hope of St. Francisはフランシスカンの雑誌「聖アントニオ・メッセンジャー」誌に掲載された自身の上記標題の12の講義シリーズで、教会を動揺させる醜聞に取り組むために私たちが聖フランシスコの指針を見出すのを助けます。この一連の講義から、私たちは聖フランシスコが如何にその時代の醜聞に取り組んだか、そして一部の聖職者による小さき人々への虐待の醜聞に対して、彼のアプローチが如何に現代においても助けとなれるかを知る事ができます。講義は米国に強調点が置かれていますが、それでもなおこの危機が他の多くの国々に影響を及ぼしているのは明らかです。このシリーズを通して、人々は聖フランシスコから与えられた愛と指針を活用する事を学びます。それは教会の未来に楽観的な希望をもたらし、私たちにフランシスカン伝統の力をよく理解するよう促します。兄弟マッククロスキーが用意したこの講義シリーズから、私たちはこうした事実についての展望を得るのに役立つ読み物や研究や質問を自覚するようになるでしょう。
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総本部広報担当室の新室長:マルタの使徒聖パウロ管区の兄弟ヨゼフ・マグロが、本会総本部広報担当室の新しい室長に決まりました。兄弟ヨゼフは昨年12月に帰天した同管区所属の兄弟ジョン・アベラの後任となります。