2011年8・9月号

アシジの聖クララの祝い日

clip_image004 クララ会創立800周年となる今年のアシジの聖クララの祝い日が「アシジ精神」の25周年記念と一致するのは、実に神のみむねです。フランシスコとクララの福音的体験によって、ヨハネ・パウロ二世はアシジを、この歴史的なふるまい-すなわち平和を祈るために世界の指導者たちが集う「世界平和祈祷集会」-を行なう場として選びました。それ以来、このふるまいはアシジ精神として知られるようになりました。私たちフランシスカンはアシジに生まれましたが、アシジ精神を家族の栄光としてではなく、より平和な世界を築く事に献身と奉仕を捧げるための緊急の招きとして考えています。(2011年聖クララの祝い日に向けた総長の手紙より)。

教皇が2011年10月にアシジ訪問

clip_image006 教皇は2011年1月1日のお告げの祈りの後、10月のアシジ訪問を発表して次のように述べました:「親愛なる兄弟姉妹の皆様、私は『世界平和の日』メッセージの中で、世界の大宗教は人間家族のために一致と平和の重要な要素になれると強調する機会を得ました。さらにその際、本年2011年は尊者ヨハネ・パウロ二世によって1986年アシジで世界平和祈祷集会が開催されてから25周年の節目である事についても思いをいたしました。それ故私は10月に巡礼clip_image008者として、様々の修道会のキリスト教徒の仲間たちや世界の諸宗教の代表者たち、そして理想的にはすべての善意の人々をこの巡礼に加わるよう招きつつ、聖フランシスコの町に向かいます。それは私の先任者の望んだ歴史的行動を記念すると共に、あらゆる宗教の信者が平和への奉仕としての信仰を生きるという献身を、厳かに新たにする事を目的としています。神への旅路をたどる者は平和を伝えずにはいられず、平和を築く者は神に近づかずにはいられません。私は皆様に今この瞬間から、祈りと共にこのイニシアティブに同伴して下さいますようお願い致します」。

それ故私たちはベネディクト16世と共に、「普遍的兄弟愛」の聖人である聖フランシスコの町-平和の象徴の町として世界に知られるアシジで、対話と話し合いと祈りの新たな機会を生き、体験しましょう。

総長はアシジ精神25周年記念をどう祝うかについて、すべての兄弟たちに二通の手紙を送っています。http://www.ofm.org/をご覧下さい。アシジ精神の祝いの資料が様々の言語で入手できます。またこのイベントの祝い方についてのアイディアが下記サイトに紹介されています。ご参照下さい:http://spiritodiassisi.wordpress.com/

アシジ精神とフランスのフランシスカンたち

アシジで実現された大宗教の指導者たちの集まりの25周年記念を祝うために、フランシスカン家族の諸宗教委員会は以下のイベントを計画しています:

1. パリで2011年11月11日に国際セミナーを開催する。クレテイユ司教で司教区の諸宗教間対話評議会議長のモンシニョール・サンティエが司会役を務める。

2. 同市ノートルダム大聖堂で11月12日若い人々と共に前夜祭を行なう。

3. 翌11月13日コンサートに続いて市の中央部で「平和の行進」をする。

今回の記念祭の目的は、共に真剣で熱のこもった出会いの時をすごしつつ、アシジでのイベントを記念する事、その後現在に至るまで25年間の諸宗教間対話の旅路を内省する事、そして対話に向けた新たな展望を開く事です。特に若い人々を始めとして、幅広い公衆の参加が期待されています。詳しくはウェブサイトに掲載中です:http://franciscain.net/

第23回国際マリア学会議の準備-ローマ

教皇庁立国際マリア学会(PAMI)は2011年6月4日、来年開かれる第23回国際マリア学会議に向けてそのテーマと構成の概要を検討する研究セミナーに、世界中からおよそ50人のマリア学研究者を招集しました。国際会議は2012年9月5日から9日までローマの教皇庁立聖アントニオ大学(PUA)で開催されます。今回のセミナーではサルバトーレ・M・ペレッラO.S.M.教授がバチカン評議会について報告した後、兄弟ヴィンチェンゾ・バッタグリアが全国マリア学会からの様々の提案を発表しました。作業はグループに分かれたり全体で集合したりしながら続けられ、来るべき会議のテーマ「第二バチカン公会議後のマリア学。受入れと評価と展望」が承認されるに至りました。

その間にPAMIはレイリア-ファティマ(ポルトガル)の司教の要請を受け入れ、聖母御出現100周年となる2016年にファティマで次の第24回国際会議を開催する旨承認しました。PAMIはまた、ワルシャワのステファノ・ウィジンスキー枢機卿大学神学部にコルベ講座(聖マキシミリアノ・マリア・コルベのマリア学)創設を承認しました。同大学はコルベ神父ゆかりの地であるニエポカラノフのコンヴェンツァル・フランシスコ会の無原罪の御宿り管区本部に事務局があります。

最後に、PAMIはヨーロッパ連合の資金援助で教会に捧げられた新しい博士課程を支援しています。新課程の講座はヴィチェンツァにある「ベリコ山の聖マリア」宗教学上級研究所で開始される予定で、タイトルは「教会、聖なる所。巡礼の地にして文明の中心」です。来月以降PAMIは本会の諸管区や各地のフランシスカン研究所で、フランシスカニズムのマリア学的次元についての講座開催を続けます。

大陸レベルでの養成担当者会議

養成と勉学総事務局は、各地域の養成の現実に近づく方法として大陸レベルでの会議の開催を決定した2009年総集会の指令に従って、この秋に二つの大陸レベルの養成担当者会議を主催します。すでにアジアでは、2010年9月にフィリピンのタガタイで成功裏に行なわれました。現在二つの会議の準備が進んでおり、その一つは9月11日から18日までコロンビアのボゴタで開かれるラテンアメリカ協議会連合(UCLAF)の会議で、もう一つは11月20日から27日までタンザニアのアルシャで開かれるアフリカの会議です。出席者は前回総集会の指示とテーマに従います。各構成単位から二人の養成担当者すなわち有期誓願責任者と召命/志願院責任者が出席するよう招かれており、テーマは以下の四つです:①勉学綱領とフランシスカン養成綱領の理解、②福音的勧告におけるフランシスカン養成、③秘蹟の生活におけるフランシスカン養成、④使徒職に召し出された兄弟への同伴。

さらに各会議では、先に諸管区の「養成と勉学」事務局の行なったアンケートに対するすべての回答について、見解が発表されます。このインフォメーションは、発表についての内省や兄弟たちの対話や典礼祭儀と共に、私たちが両大陸の人々の中に具現化された「福音の使者」となるための養成の旅路を続ける上で助けとなるでしょう。

養成と勉学の第13回国際評議会

OFM養成と勉学総事務局は「主よ、あなたの道をわたしに示し、あなたに従う道を教えてください(詩篇25.4)。堅忍と帰属意識の間のフランシスカン召命」というスローガンの下、第13回国際評議会を2011年10月9日から16日までエルサレムで開きます。各フランシスカン協議会の養成と勉学事務局代表が出席し、それぞれの協議会における養成の活動や統計データを発表します。

様々の発表が、以下の二つの観点から総合的なテーマに取り組んで行なわれます:一つは聖書からの霊感という観点で「聖書における召命、旧約・新約聖書における堅忍とアイデンティティ」、もう一つは養成の活動という観点で「修道生活の危機、困難に直面しての養成の教育課題とその対応」に取り組みます。聖地特別分管区にいるという特別の恵みと、典礼と内省、それに兄弟的な対話は、召し出しを受けた人がその召命を粘り強く維持して励み、本会への帰属感を成長させる事ができるようにと、私たちが養成の手法を深め続けるのに助けとなるでしょう。それは普遍の共同体に活力を与える「福音から始める」プロジェクトと一体になって行なわれるべきものです。

フランシスカン新刊の栞

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*ジュゼッペ・ブフォン著「省かれた歴史を追って。フランシスコ修道会の近現代修史」(原題Sulle tracce di una storia omessa. Storiografia moderna e contemporanea dell’Ordine francescano)。フランシスカン選集第18巻。新シリーズ6。クアラッキの兄弟出版、グロッタフェラータ、2011年。全271頁。

ヘリベルト・ホルザプフェルによって1909年に著されたフランシスコ修道会史についての教本は、フランシスカンの全ての出来事を概説し、その全景を示そうとした最後の試みと考えられています。他の多くの出版物が主に小さき兄弟たちの最初の世紀に注意を集中し、ある特定の局面や時期や出来事、変化、人物、動きに関心を寄せるのに対して、本書はこのような省略と除外の理由を考察しようと努め、様々な理由について考証と検討を展開します。それは結果として、現代に隆盛を極める修史学分野に一つの内容豊かな著作を生み出すことになりました。

*L・ベルタッゾとG・カッシウス監修「フランシスカン初期殉教者からパドゥアの聖アントニオへ」(原題Dai Protomartiri fran-cescani a sant’Antonio di Padova. )。2010年6月11日開催「国際研究デー」(於テルニ)紀要。アントニオ研究センター、パドゥア、2011年。全228頁。

clip_image012 初期の小さき兄弟たち-ウンブリアの聖ベラルド・ダ・カルヴィ、聖ピエトロ・ダ・サン・ジェミニ、聖オットーネ・ダ・ストロンコーネ、聖アクルシオ、聖アジュート-の殉教790周年(1220-2010)を記念するイベントの一部として、イタリアのテルニ-ナルニ-アメリア教区は教皇庁立聖アントニオ大学の中世及びフランシスカン上級研究所と協働して、2010年6月11日テルニの教区博物館で「フランシスカン初期殉教者からパドゥアの聖アントニオへ」というテーマの研究デーを開催しました。本書はその紀要です。

*クリストバル・ソラレス著「マルティン・ブーバーの教育哲学」(原題La filosofia dell’educazione in Martin Buber)。プントパーチェ出版、タラント(イタリア)、2011年。全clip_image014202頁。

自己認識は知識に付加されるものとして解釈されるべきではなく、理論上の一側面としてや、単なる知的好奇心として説明されるものでもありません。それは人間の緊急かつ本質的な任務と義務として捉えられるものです。人間はただ自身の限界と有限性によってのみ解釈されるべきでなく、他者への参与に基づいて、「知り、働きかけ、希望する」という体験によっても解釈されなければなりません。このあり得べき他の実在への参与によって、有限なものとしての人間存在は、無限のものへと自らを開きます。それ故に人間はいっそう問題をはらんだ不確実なものとなり、その全体を明確に定義づけるのがさらに難しくなります。マルティン・ブーバーが率直に述べるとおり、これは基本的に人間と無限の方との関係性についての大きな問題です。ブーバーは本質的に宗教家で、人間の豊かで複雑な体験を明確化して伝えるために哲学(特に現象学)の用語を活用します。

お知らせ-世界のあちこちから

OFM典礼委員会:OFM典礼委員会に委ねられているフランシスカン典礼書物は、「フランシスカン・ミサ典礼書と朗読用聖書」と「フランシスカン典礼祭儀の手引」です。委員会は今回を「時課の典礼フランシスコ会補遺」と「フランシスカン殉教者列伝」についても準備する好機と考えています。資料は総理事会が吟味できるように、2012年までに用意できている事が望まれています。委員会メンバーは本会の諸構成単位に存在する資料を送って下さった兄弟たちに協力を感謝すると共に、然るべき管轄庁によって承認された福者と聖人についての典礼資料とインフォメーションを、2011年12月までに総本部宛にお送り下さるよう、引き続き全会に呼びかけています。

フランシスカニズムについての講座:アシジで2011年9月26日から30日まで、フランシスカニズムについての講座が開かれます。これはウンブリアのフランシスカン家族の要請によるもので、聖クララが自身を奉献してから800周年の記念にあたって、堅固で充実したフランシスカン養成を目指すフランシスカン合同の協働の一部として行なわれます。各課目は、フランシスコ的・クララ的な霊性と人間論への正しいアプローチのために適切な道具と基準とを示す事を目的としています。講座は5日間で授業は全20時間(各45分)、天使の聖母聖座大聖堂のレフェットリエット・ホールで朝8時30分から昼12時30分まで行なわれます。詳細はアシジ神学研究所 Tel. 075.813061 - Fax 075.815421; E-mail: segreteria@istitutoteologicoassisi.it、または「オペラ・デラ・ポルチウンクラ」非営利社会事業体Tel. 075/8051419 E-mail: opera@porziuncola.orgにご照会下さい。

グラーツでのシンポジウム-オーストリア:フランシスカン家族は常に平和と諸宗教間対話と人権への配慮を推し進めてきました。小さき兄弟会オーストリア管区とグラーツのカトリック神学学部の主催により、2011年10月13日から14日までフランシスカン修道院とグラーツ神学大学センターで、この趣旨のシンポジウムが開かれます。1219年のアシジのフランシスコとサルタンとの出会いを念頭に置いて、シンポジウムは宗教と文化の関係についてのフランシスカン的ビジョンを知り、平和を推し進めるための方法を提案したいと希望しています。また10月13日午後7時30分には、シンポジウム中にグラーツのコンヴェンツァルの兄弟たちの修道院禁域で「平和のためのエキュメニカルと諸宗教間の祈り」があります。詳しくは下記サイトをご覧下さい:
http://www.uni-graz.at/pax_et_bonum/

800周年にクララ会に委ねられた聖母聖堂-フランス:ロンシャンの丘に立つ「いと高き所の聖母」聖堂は、偉大な建築家ル・コルビュジェの傑作と考えられています。三人の仲間管区(フランス/ベルギー)のフランシスカンたちはこれまで数年間、夏の数ヶ月この聖堂に存在してきました。一方シスター・ブリジット・デ・シングリーを修道院長とするブザンソンのクララ会は、街を離れ丘に難を避けて新しい修道院を建てる事を決定しました。従って建築家レンツォ・ピアノ氏の設計による修道院複合施設の落成式が行なわれる2011年9月8日から、クララ会姉妹がロンシャンに住み始めます。聖堂への見学者も歓迎されます。詳しくは下記ウェブサイトに掲載中です:www.clarisses-a-ronchamp.fr:

clip_image016新しい分管区:イタリアのサルディニア「恵みの聖母」管区は、ウンブリア「アシジの聖フランシスコ」熾天使管区の従属分管区になりました。総長の兄弟ホセ・ロドリゲス・カルバッリョは2011年6月12日の政令によって新しい構成単位を制定すると共に、同日付で新分管区の最初の執行部を任命しました。新執行部は分管区長の兄弟アンジェロ・マリオ・ソリナスと、分管区評議員の兄弟ルカ・プソと兄弟シモーネ・ファルシ、ステファノ・コゴニ、兄弟ピエトロ・コゴニから成ります。

OFM日本管区から

2009年の総集会の決議に沿って、総本部のJPIC担当室が編集した環境問題に関する小冊子が二冊出版されました。その日本語版が出来ましたので、フランシスカン・ファミリーの共同体へも配布します。追加をご希望される方は管区本部まで連絡ください。以下のアドレスの「その他の資料2」からPDF版をダウンロード出来ます。(なお、そのページには、最近出た他の公文書等も掲載されています。) http://ofmjapan2.blogspot.com/2011/08/blog-post_29.html

1)「フランシスカンと環境正義」2011年(A5)p50

2)「小さき兄弟たちの日常生活における被造物への配慮」2011年(A5)p56